みなさんの睡眠時間は足りていますか?
夜に、質も量も充分な睡眠がとれているかどうか確かめる一番簡単な方法は、「昼間何もしないでぼーっとしている時に、『居眠りをしてしまうかどうか』」。もし昼間ウトウトすることが多ければ、おそらくあなたは睡眠不足です! (それか、何か睡眠の質が悪化する問題を抱えています)
人によって必要な睡眠時間は大きく異なりますが、平均的には、下記の睡眠時間が(世界的な)年代ごとの平均睡眠時間です。 (論文: Roffwarg et al., “Ontogenetic development of the human sleep-dream cycle.” Science. 1966. Apr 29;152(3722):604-19.)
幼稚園に通うような年代であれば、1日の半分以上は睡眠が必要。小学生なら、10時間弱。中高生なら、9時間くらい。20代の社会人で、およそ8時間くらいになります。
この必要な時間を下回ると、昼間の眠気が出てきます。なお、睡眠不足の影響はおよそ14日引きずると言われています。7時間睡眠が必要な人が1日1時間ずつ睡眠不足を起こしていると、1週間後には1晩徹夜したのと同じ睡眠不足が溜まってしまいます。
眠気が残る以外には特に問題がないのでしょうか? 眠いと当然ですがパフォーマンスが低下します。集中力が低下して、ミスが増えて、同じ時間にこなせる仕事量は減っていきます。
では、眠気とパフォーマンスはイコールなのでしょうか? 実は、違います。
眠気には限度があり、実は1晩徹夜しても2晩徹夜しても、あるいは毎日少しずつ睡眠不足を重ねていても、眠気自体はそれほど変わりません。どのくらい昼間眠いか、どのくらい居眠りをしやすくなってしまうかに関しては、ある程度以上睡眠不足が溜まっていれば、あまり差は生まれないのです。
しかし、パフォーマンスは溜まっている睡眠不足に比例して悪化していきます。
2晩徹夜した人は、1晩徹夜した人よりもはるかに多くミスを起こし、単位時間あたりに処理できる情報量が下がります。毎日2時間ずつ睡眠不足を重ねている人は、1時間ずつ睡眠不足の人よりも、同様にはるかに多くミスを起こし、単位時間あたりに処理できる情報量が下がります。(論文: Van et al., “The cumulative cost of additional wakefulness” Sleep. 2003 Mar 15;26(2):117-26.)
このため、経営学の権威であるHarvard Business Reviewはこう書いています。
「徹夜すること。あるいは5時間睡眠を1週間続けることは、血中アルコール濃度0.1%(酒気帯び運転で捕まる3倍の濃度)のパフォーマンス低下と等しい。『アイツはなんて立派な従業員なんだ! 彼はいつも飲んだくれている!』なんて台詞を言うわけがないが、睡眠を犠牲にして働く人を称賛することはこれに等しい」 (Harvard Business Review. 2006. “Sleep Deficit: The Performance Killer”)
日々のパフォーマンスを高め、そして健康を作るために、睡眠に気を配ってみませんか!