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コロナ自粛 よりよい睡眠をとるには

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、外出が自粛され、在宅ワークがメイン。また、小中高は休校措置、大学はオンライン授業。毎日の生活が大きく変化した人が多いのではないでしょうか? 家で過ごすことが多くなり、「よく眠れなくなった」という声を多く聞きます。実際、ロックダウン(都市封鎖)を実施したアメリカやイギリスなどにおいては不眠が問題となっているようです。外出自粛が余儀なくされるなか、よい睡眠を確保するにはどうすればよいのでしょうか?

 

朝に光を浴びよう

「平日も家で過ごすことが多くなり、生活リズムが乱れてしまっている」

外出が自粛される中、このような方も多いかと思いますが、生活リズムの乱れにあわせて私たちの体に備わっている「体内時計」まで乱れてしまうと、睡眠の質が低下するとともに、心身の健康にまで悪影響を及ぼしてしまいます。

では、体内時計の乱れを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか? ポイントは「光」にあります。詳しくみていきましょう。私たちの脳からは「メラトニン」というホルモンが分泌されています。時刻合わせの手段にメラトニンを使っており、夜に分泌され、「夜がきたこと」を全身に知らせます。夜がきたことを体が認識すると、体も睡眠の準備をはじめ、脈拍・体温・血圧なども低下していきます。

このメラトニンがきちんと夜に分泌されるためには、朝・昼にしっかり光を浴びておく必要があります。そして、毎朝同じ時間に起きてカーテンをあけて光を浴びることにより体内時計が調節され、朝に自然と目が覚め、夜には自然と眠くなり、そしてぐっすりと眠れることになるのです。これは、曇りや雨の日でも、屋外の光を浴びることには、効果があります(太陽の光は非常に強く、曇っていても屋内の蛍光灯の数十倍以上の強さがあります)。

 

夕方以降は光の量を調整しよう

上記でみてきたように、メラトニンは体内時計を調節し自然な睡眠を導きますが、夕方以降(眠る前数時間)の光で抑制されてしまう性質があります。睡眠の質を高めるためには、夕方以降はなるべく光の量を抑えることがポイントになります。具体的には以下のことを心がけるとよいでしょう。

✓ 夕方以降は白い蛍光灯ではなく、間接照明や白熱電球のようなオレンジ色の光を使用する。

✓ 寝る前のスマホやテレビ、パソコンの使用は控える。

(どうしても使用したい人はブルーライトカットやナイトモードにしよう)

✓ 就寝時は常夜灯を消して部屋を真っ暗にする。

 

 

夕方以降のカフェインやアルコールを控えよう

外出自粛で家にこもっていると、カフェインやアルコールの量が増加してきているのではないでしょうか。遅い時間のカフェインやアルコールは睡眠の質を悪化させることが知られています。夕方以降はカフェインの入っていない飲み物を摂ることをお勧めします。例えば、ハーブティ・麦茶・デカフェなどがおすすめです。眠る直前の飲酒(寝酒)は決してしないようにしましょう。もし夕食に合わせて晩酌をする場合でも、ビール1本(350ml缶)程度のアルコール量にとどめておくのが望ましいでしょう。

 

寝床で仕事や勉強はしない

外出自粛によって、寝床で、仕事や勉強、スマホやゲームをすることが習慣化してしまっているという話を耳にします。私たちの脳は、場所とそこでの行為を条件付けて記憶する特徴があります。したがって、脳が無意識に「寝床=仕事や勉強する場所」と認識してしまい、寝つきが悪くなり睡眠の質が悪化するリスクがあるのです。「寝床=眠る場所」と脳に認識させるため、寝床では眠ること以外は控えましょう。

 

適度に体を動かそう

家に閉じこもり体を動かさないと、肉体的疲労がないので、寝つきが悪くなり、睡眠の質が悪化する可能性があります。家でできる腕立てや腹筋、スクワット、ストレッチなどの運動や、周囲との距離に配慮しつつ近所を散歩することも有効です。オンラインフィットネスなどのプログラムもリリースされているようなので、試してみてはいかがでしょうか。

 

外出自粛が続く中、なかなか生活リズムをつかむことが難しいかもしれません。外出自粛期間に体調を崩さないためにも、上記のことを実践して、睡眠の質を高めていきましょう。

埼玉県南部高等学校等保健主事・養護教諭合同研修会の講演アンケートより

株式会社こどもみらいでは、睡眠や健康に関する講演を企業・学校向けに行っています。
埼玉県南部高等学校等保健主事・養護教諭合同研修会で行われた睡眠に関する講演・ワークショップのアンケートでいただいたご感想を一部ご紹介します。

講演について

・カフェインの話や、睡眠の条件付けの話など、生徒にすぐ話せるような話題をたくさんいただきとても勉強になりました。保健室に来室する生徒の中には睡眠が原因で体調不良の状態になり、作業のパフォーマンスが落ちている生徒がいます。日本の高校生の睡眠時間が世界的にみてもとても少ないことを知り、そのような状況の中でも生徒は毎日登校し、勉強に部活に頑張っていることを思うと、少しでも何か手助けやアドバイスできるよう頑張りたいと思います。

・睡眠が大切なことを改めて感じました。特に熟睡できないと「うつ」など心にも影響を与えることは驚きました。また、睡眠の大切な3要素「量・質・リズム」についてわかりやすく説明していただきました。睡眠に問題を抱えている生徒が多いので今回の研修内容はすぐに役立つ内容で有意義なものでした。

睡眠が及ぼす影響が、体調や生活習慣だけでなく退学、自殺にまで関係すると知り、またそのことを数値であらわしていただき、とても分かりやすく勉強になりました。生徒、自分、家族、職場の教員。いろいろな人が頭に浮かびました。また、面談の仕方についてもわかっているようでわかっていなかったこと。あらためて再認識できたことがとても良かったです。がんばろうって力になりました。

・自分がなんで早く起きるのか。仕事の責任の気がしていたが、老化と知り新たな発見でした。子どもの朝の不機嫌の意味も分かりました。夜中に寝て、昼近く起きることがだらしないと思っていましたが、パターンの違いなのだとわかりました。自分の考えでパターンを変えるのは支障のない事なのでしょうか。

・科学的で大変わかりやすいご講義でした。カフェインが睡眠に影響があることは知っていましたが、具体的な影響を与える量やカフェインの半減期などは知りませんでした。また、中・高校生の時期は夜型になることも初めて知りました。

・本校の生徒の例を見ているような講演内容でとても参考になりました。遅刻する生徒、欠席の多い生徒がいるので、学校全体や学年で今日のような講演の高校生版があれば行っていただきたいと思いました。

 

ワークショップについて

・子どもとの信頼関係づくりのもと、できることを探りながら、本人の負担の少ない方法を、一緒に考えていくことの大切さを感じました。

・先生の保健指導のお手本も素晴らしかったです。生徒の生活内容を否定するのではなく、時間の使い方をデザインするやり方、とても参考になりました。

・ワークショップは実際の面接技法をデモンストレーションしていただき、実際の現場でイメージしやすくとても良かったです。

・ワークショップでは、他校の様子や課題等を共有でき、大変有意義なものになった。

一緒に考えていくことで何か光が見えてくることがあると、体験してわかった。

講演のご相談を受け付けています

講演をご希望の方、詳細のお問い合わせはこちらからご連絡下さい。
https://cfltd.co.jp/contact

こどもみらいでは今後も科学的根拠に基づいた睡眠および健康に関する情報の発信に努めて参ります。

株式会社こどもみらいについて

株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。

eSLEEPについて

eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。

STRESCOPE について

STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。

「週末の寝だめ」が健康に悪影響!?

平日は仕事や学校が忙しくて睡眠不足が続き、週末に寝だめをして睡眠不足を解消している、なんて方は多いですよね。土曜の朝寝坊を楽しみに一週間がんばれるって方も中にはいらっしゃるでしょう。

その睡眠習慣、見直した方がよいかもしれません。

 

毎日の睡眠不足が借金のように積み重なっていくことを「睡眠負債」といいますが、平日の睡眠不足でたまった睡眠負債を週末の寝だめで返済できていると考えている方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、これには大きな誤りが潜んでいます。実際、週末の寝だめで睡眠負債が帳消しになるわけではありません。そればかりか体に悪影響が及んでいるのです。

 

例えば、週末に寝だめをすると、太りやすくなりインスリン感受性が低下することが明らかになっています。インスリン感受性が低下すると、筋肉や脂肪組織の糖取り込み能も低下し、血糖値が下がりづらくなり、2型糖尿病になるリスクが高まります。これは、米コロラド大学ボルダー校の睡眠・時間生物学研究所等が行った研究で明らかになっており、当該研究は、健康な成人男女36人を以下の3つのグループに分け9泊させ、体重増加やインスリン感受性等を評価することを目的としたものです。

第1グループ:9日間ともに1日9時間寝ることが許されているグループ

第2グループ:9日間ともに1日5時間に睡眠が制限されているグループ

第3グループ:平日の5日間は5時間に制限、週末の2日間は制限なし、残りの2日間は再び5時間に制限されているグループ

結果として、第2グループおよび第3グループでは、睡眠不足により食後のエネルギー摂取量と体重が増加しました。また、第2グループでは全身インスリン感受性は13%低下し、第3グループでは全身のみならず肝臓、筋肉のインスリン感受性が9-27%もの低下を示しました。

Depner CM, et al. Curr Biol. 2019 Feb 11.

 

また、週末に寝だめをすると、生理が重くなるという研究結果があります。明治薬科大学の駒田准教授を中心とする研究チームが女子学生100名を対象に行った研究によると、休日に寝だめを1時間以上すると、月経症状が重くなる可能性があることが示唆されています。具体的には、生理の痛みが増し、むくみやすくなるというものです。

Komada Y ,et al.Chronobiol Int. 2019 Feb;36(2):258-264

 

このように、「週末の寝だめ」は健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。次回のコラムでは寝だめについてもう少し掘り下げて、寝だめによって生じるソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)について取り上げ、それを防止するための手立てについてお話していきたいと思います。

「生産性向上」のために睡眠改革を

「働き方改革」が国家として大きく推進され、従業員の「生産性向上」が会社にとって重要な課題として認知されるようになりました。働き方改革の一環として、残業を削減し、有給休暇の取得しやすい環境を整え、生産性向上に向けた取り組みをしている会社も多いのではないでしょうか?

「人事労務制度を再構築し、IT投資もしたのに、、、生産性が向上していないのではないか」と、お悩みの会社も中にはあるかと思います。そのような会社は従業員の睡眠をチェックしてみてはどうでしょうか?実は、生産性向上には従業員の「睡眠」がカギになるのです。

 

「プレゼンティズム(Presenteeism)」という言葉を一度は耳にしたことはあるでしょう。プレゼンティズムとは「出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態」を意味します。一方、「欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態」を「アブセンティズム(absenteeism)」といいます。

アブセンティズムにより生産性が低下するのは容易に想像がつくと思いますが、実は、アブセンティズムよりプレゼンティズムの方が、生産性低下が大きく企業の業績に悪影響を与えているのです。これは、アメリカのある金融機関の従業員を対象に実施した研究においても明らかになっています。図1のグラフをみるとわかるように、従業員の健康関連コストとして、割合が一番大きいのはプレゼンティズムであり、アブセンティズムや直接費用である医療費・薬剤費を大幅に上回っています(図1)。

 

図1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:Dee W.Edington and Wayne N.Burton(2003)

これはアメリカだけの問題ではなく日本にも当てはまります。図2のように、従業員の健康関連コストにおいて、プレゼンティズムの方がアブセンティズムより大きいのは、日本の同様です。当該調査は、日本における3企業3429件について実施され、1人あたり年間健康関連コスト(平均値)の中で、医療費が11万円・アブセンティズム3万円だったのに対して、プレゼンティズムは56万円と78%もの割合を占めることが明らかになっています(図2)。

 

図2

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:平成29年7月厚生労働省保険局コラボヘルスガイドライン P35

 

では、プレゼンティズムによる生産性低下による損失を防止するにはどうしたらよいのでしょうか?

意外かもしれませんが、従業員の「睡眠」がカギを握っているのです。これには医学的なエビデンスがあります。

弊社(株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区))のデータを元に東京医科大学精神医学分野の古市亘医師らが実施した研究によると、ストレスチェックで測定される「仕事のストレス」と「周囲のサポート」の問題は、睡眠の問題や心身のストレス反応を引き起こし、それを介して生産性を低下させていることが示されました。さらには、睡眠の問題の方が、仕事のストレスや周囲にサポートよりも、生産性に与える影響が大きいことが示されました。

 

上記の研究により、会社は、従業員のストレスケアを行うと同時に睡眠の問題を評価し解決することが、生産性低下による損失を防止することが明らかになったのです。すなわち、従業員の睡眠問題に取り組むことが、従業員にパフォーマンスを発揮させ、ひいては企業価値の増加に資するのです。また、従業員の睡眠問題に取り組むことは、当然ながら従業員の健康を守ることにもつながります。

 

それでは、会社として従業員の睡眠問題にどのように取り組めばよいのでしょうか?まずは、組織のストレスや生産性に睡眠が与えている影響を分析することがポイントとなってきます。そのうえで、最適な施策を決定し実施していく必要があります。

会社が睡眠問題に取り組んだ具体的事例としては、睡眠計測アプリを使用して従業員に対する睡眠改善のコンサルティングの実施や、一人ひとりにあった睡眠の質を高めるためのプログラムの導入などが挙げられます。また、従業員の睡眠時間を可視化し6時間以上眠った従業員に報酬を与える制度を導入したユニークな企業もあります。このように働き方改革の一環として睡眠の重要性を認識し睡眠問題に取り組んでいる会社が増えてきています。

弊社(株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区))においても、睡眠専門医監修の現状分析・睡眠改善プログラム「eSLEEP」のサービスを提供しておりますので、お気軽にお問合せください。

カリフォルニア州が、中学高校の始業開始時間を遅らせることを決定!

カリフォルニア州は、中高生の睡眠不足解消による教育向上効果を目的として、法律に基づき中学高校の始業開始時間を遅らせることを決定しました。

“カリフォルニア州が、中学高校の始業開始時間を遅らせる法律を施行する最初の州に”/ロサンゼルスタイムズ

一部の学校関係者の反対によりこれまでも2回廃案になってきた法案ですが、今回州知事は「科学的知見は、始業時刻を遅らせることが10代の学生の学業成績、出席率、および総合的健康状態のいずれも向上改善させることを示している」と声明で述べ、法案の施行まで3年間の移行期間を設け、段階的に実施することが決定しました。

 

米国疾病対策予防センターによると、カリフォルニア州の中学高校の平均始業時間は午前8時7分。

日本と比べて早いと思いますか?遅いと思いますか?

日本では、部活の朝練や朝テストなどの目的で、7時や7時半といった、始業時刻よりも早い時間での登校を促している学校が多いように思います。

 

人は、それぞれに、「何時に眠って何時に起きると、(勉強もスポーツも)最大のパフォーマンスを発揮できる」という時間スイッチを持っています。

その眠りのスイッチと起床のスイッチのベストタイムは、一人ひとりそれぞれに異なっています。そうした個人差があるうえ、さらに同じ個人の中でも年齢によってベストタイムは移り変わる、という特徴があります。

 

例えば50歳のAさんは、24時に眠って、7時に起きると絶好調だと感じています。

年齢による変動を考慮すると、おそらくAさんが20歳のときのベストタイムは2時頃に眠って10時頃に起きる、というものだったと推測できます。誰しも、若いときのほうが夜ふかしであるという生物学的特徴を我々は持っています。

みなさんも、次のような経験はありませんか?

若い頃は夜中何時まででも起きていられたのに、年を重ねたら夜ふかしできなくなってきた。

若い頃は朝起きるのが辛くて、よく遅刻して怒られたけれど、年を重ねたら朝起きられるようになった。

 

人間は15歳前後から20歳にかけて、急速に夜型に傾きます。特に男性は女性と比べるとより強く夜型になる傾向があります。

この結果、15歳から20歳にかけての学生が最もパフォーマンスを発揮できる時間帯と、社会生活時間(学校生活を送る時間帯)に大きなズレが生じ、本来眠っていたほうが良い時間に起きて登校することを強要され、これから調子が出てくる時間には下校をする、という状態に陥ってしまいます。

日本の学校が開いている時間は、朝型の若者と、中年以降の年齢の人にとってはとても快適な時間帯です。しかしながら、多くの中高生・大学生にとって、今の学校が開いている時間はベストパフォーマンスを発揮できない時間となっています。特に体質的に夜型の若者にとって生活リズムを社会生活時間に合わせることは容易ではなく、中学生・高校生頃から急に朝が起きられなくなり、学校へ通うことができず、結果として退学を余儀なくされるという事例が少なくない数で発生しています。

このことは、若者の能力を育み成長を促すはずの教育システムが、むしろ本来の能力を発揮する機会を損ない、成長の芽を摘みかねない環境を与えている、ということを意味します。

 

米国小児科学会は2014年にすでに「中学校と高校は始業開始を8時以降にすべきだ」という提言をしていました。小児科医グループは、「思春期の睡眠不足が公衆衛生の問題であると認識し、始業開始時刻を遅らせることの科学的根拠を支持し、身体的および精神的健康、安全性および学業成績に関して生徒に利益以外の何者でもない」と述べています。

今回のカリフォルニア州の法律は、子供たちの健康と福祉を、社会の枠組みによって守るために作られましたと感じます。

今、日本の子どもたちはアメリカ以上に公衆衛生危機に直面しています。世界で一番子どもが眠らない国は日本です。そして先進国の中で唯一日本だけが、10代の子どもたちの自殺率が上昇しています。

始業時間を遅くすることで、子どもたちの健康状態は向上し、学業成績が向上し、スポーツのパフォーマンスが上がり、尊い命が救われます。

この議案が州議会で可決される前に、ある議員さんが次のように述べたそうです。

「この国のティーンエイジャーは睡眠不足です。これは公衆衛生の伝染病であり、この伝染病の主な原因は、思春期の子供の生物学的睡眠のニーズに合わない始業開始時刻です。」

反対派は、この始業開始時刻変更がバス路線に影響を及ぼすとか、両親が仕事に行く前に子どもを学校へ送ることができないとか、課外活動が夜遅くまでずれ込むことになると危惧しました。日本の睡眠学会でも、この話題が取り上げられた時に、「始業時間が遅くできたとしても、どうせまた、朝テストや朝学習を始める・・・始業時刻を遅らせることを提言するなら、その対策も考えた上で社会的に提言してほしい」なる意見が出されました。

それは、果たして本質的な問題なのでしょうか?『学業成績、出席率、および総合的健康状態のいずれも向上改善させる』結果を帳消しにするほどの重大な問題だとは、到底思えません。

 

もちろん、いま実際に動いている仕組みを変えるためには大変な労力が必要です。一朝一夕に出来ることではないでしょう。しかし、若者のパフォーマンス発揮や成長の機会を潰してしまう社会の仕組みを、このまま放置しておいて良いのでしょうか?科学的根拠のない社会規制は、むしろ今後の日本にとって非常に大きなリスクとなりうる、と私たちは考えます。

 

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中高生に必要な睡眠時間とは

~睡眠セミナー講師の折々話~

先日、都内の甲子園出場などで有名なスポーツ強豪校での講演に行ってきました。

高校1~2年生の皆さんに聞いて頂きましたが、最後に睡眠の量について生徒さんから質問が出ました。まだ、制服の裾が自分の手足よりも長く、入学したばかりの1年生だろうなぁと思われる男子生徒

「僕は、中学の時の保健体育の教科書に、中学生に必要な睡眠時間は6~8時間と書いてあったのを信じていました。あれは嘘ですか?」

教科書に嘘?て、ありえない?!
そう思って当然ですよね。

講演では、必要な睡眠時間について、アメリカ国立睡眠財団が発表している時間数を伝えました。
14~17歳 の理想の睡眠時間は 8~10時間。講演に参加された16~17歳に絞ると8~8.5時間。

加えて、全員が8.5時間必要ではなく個人差があること、個人差の分布、睡眠不足の判断方法、20歳以降は毎年数分ずつ必要な睡眠時間が短くなっていくのが一般的であること。
これら睡眠の基本知識を一緒に学びました。

生徒さんたちに、その場で挙手にて平日どのくらい眠っているかを聞いたところ、5~6時間しか眠っていない高校生がなんと多いことか・・・

先進国の中でこんなに眠っていないのは日本の高校生だけであるということを今日も身を持って体感してしまいました。
これは、10代の自殺の問題にも関連している大変由々しき問題です。

男子生徒の質問に
「(最新の知見からすると)間違っています」と即答すると、高校生たちは皆、苦笑。

今の日本の受験制度や学校組織の仕組みに、高校生が充分な睡眠を取ることができる構造は残念ながら見当たりません。

日本社会として取り組むべき課題であると認識しています。

それはそうと、保健体育の教科書を真面目に読んでいる子もいるんだなぁと、ほっこりした気持ちになりました。

学校・企業向け睡眠セミナーについて

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睡眠とアルコール

「お酒を飲むとよく眠れるなぁ」と感じている方はいませんか?実は、それ誤りです。

お風呂上りのビール、美味しいですよね!残業続きで深夜に気晴らしでお酒を飲む、そんな日もあります。一方で、寝つきがよくないから寝る前にお酒を飲むのが習慣化している、という人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

お酒はストレス解消になるし、お酒を飲むとよく眠れると思っているあなた、これは大きな誤解です。寝る前のお酒は確実にあなたの睡眠の質を低下させています。今回は、睡眠とアルコールの関係性について説明していきたいと思います。

欧米では寝る前のお酒はナイトキャップと呼ばれます。日本においても寝る前にお酒を飲む人も少なくはないでしょう。特に、日本においては、不眠で悩んだときにお酒を飲む人の割合が国際的にみて高いようです。日本、ドイツ、ベルギー、中国、ブラジル等10か国4万人を対象とした国際疫学調査(2002年)によると、不眠で悩んだときの対策として「アルコール飲用」と答えた人の割合が30%と、10カ国中で断トツのトップでした。日本は「寝酒大国」と言っても過言ではないでしょう。一方で、「医師を受診する」と答えた人の割合は10%未満であり、10カ国中最下位でした。日本人には、「お酒を飲めば眠れる」「眠るためには『医師」よりも『お酒』」と思ってしまっている人が多いようです。

たしかに、お酒を飲むと、一時的に入眠潜時(覚醒状態から眠りに入るまでの所要時間)が短くなります。

しかし、お酒を飲んで眠ると、睡眠の質が悪化するということが明らかになっています。

London Sleep CentreのEbrahim博士らが行った研究によると、アルコールを摂取すると、寝付きは良くなるものの、中途覚醒や早朝に目が覚める早朝覚醒が増加し、特に睡眠の後半に睡眠障害が発生しやすいことが示されています(Irshaad O. Ebrahim,et al. Alcohol and Sleep,Alcoholism 2013;Volume37.4:539-549)。

この原因としては、アルコールが分解されて生じるアセトアルデヒドに強い睡眠阻害作用・興奮作用があること、利尿作用による中途覚醒が起きやすくなること、連日のアルコール摂取に熟睡を阻害する作用があること等が考えられています。また、アルコールの摂取によって血液が固まりやすくなるため、寝酒を繰り返すと睡眠中の脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まり、場合によっては突然死を招くこともあります。

さらに、アルコールの筋弛緩作用により、のどや舌の筋肉が弛緩し気道が狭くなりいびきをかきやすくなります。ひどい場合は、気道が完全に狭窄され無呼吸を引き起こします(これは閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれています)。実際、Paul E. Peppard博士らにより、1日の飲酒量が1杯増えるごとに閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが25%増加することが明らかにされています。なお、ここでの1杯とは355mlのビールまたはワイングラス1杯等に相当します(Paul E. Peppard,et al. Association of Alcohol Consumption and Sleep Disordered Breathing In Men And Women. Jornal of Clinical Medicine 2007; 3(3):265-270)。

これに加えて、寝酒の習慣を長期間継続することによって、アルコールの耐性が高まり、寝つきがよくなる効果を得るために必要な飲酒量が増えていきます。これは、アルコール依存症を引き起こす危険性を高めます。

 

以上のように、お酒を飲むことは睡眠の質を確実に悪化させます。ぐっすり眠り、すっきり目覚めたいと思うのなら、原則として「お酒は飲まない方がよい」と言えます。

とは言え、会社や友人とのお付き合いで飲まなければならない時や、ストレス解消のためにどうしても飲みたい時もあるかと思います。そんなときは少なくとも就寝3~4時間前までに飲むことを心がけましょう。そして、飲む量はビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までが望ましいでしょう(個人差がありますが、一般的にビール中瓶1本に含まれるアルコールがある程度抜けるまでには3~4時間かかると言われています)。

また、お酒を飲まなければどうしても眠れないという方は、寝酒に頼るのではなく、睡眠を専門としている医療機関を受診しましょう。

「寝床でスマホ」は睡眠を悪化させる

「寝床でスマホ」見直してみませんか?「寝床でスマホ」はあなたの睡眠を悪化させています。ゲームや動画サイトを寝床で楽しむ、なんてことが習慣化している人はいませんか?重要な会議の前日、ついつい仕事が気になって寝床でメールチェックするなんてこともありますよね。また、寝床でフェイスブックやツイッター、止められませんよね。このようにスマホを使ってしまう人は少なくないと思います。スマホは急速に普及し、13歳~19歳では80%以上、20代・30代では90%以上がスマホを日常的に使用しているといわれています(総務省「平成29年通信利用動向調査」)。

一度は聞いたことがあるかもしれませんが、寝床でのスマホ使用は睡眠に悪影響を与えます。今回は、スマホの使用、特に光が、睡眠に与える影響について説明していきたいと思います。

 

メラトニンが自然な睡眠に導く

夜になると眠くなり朝になると目覚めるのは、脳の奥にある体内時計が、全身の組織・細胞の時刻合わせをしているからです。その時刻合わせの手段として、脳から分泌される「メラトニン」というホルモンが使われています。メラトニンは、主に夜に分泌され、光の感知で分泌が抑制されるという性質があるため、「夜がきたこと」を全身に知らせることができます。具体的には、メラトニンにより、脈拍・体温・血圧などを低下させることで睡眠の準備が出来たとが認識し、自然な睡眠に向かわせるのです。

 

夜に光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制される

光を夜に浴びると、自然な睡眠を導くメラトニンの分泌が抑制され、寝つきが悪くなってしまいます。特に、スマホなどの電子機器の画面が放つ「ブルーライト」は、ヒトの目で見ることのできる光(可視光線)のなかでも、もっとも波長が短く強いエネルギーをもっており、メラトニンの分泌を抑制します。さらに、ブルーライトは波長が380~500nm(ナノメートル)の青色光で、昼夜を感じるためだけに存在しているメラノプシンという視細胞に波長を拾われて、脳が昼であると認識してしまいます。

したがって、寝る前にスマホを使用すると、画面から放たれるブルーライトが、メラトニンの分泌を抑制するのみならず、視細胞を刺激して体内時計を狂わせてしまうのです。その結果、からだは睡眠の準備が十分にできず、睡眠を悪化させることになってしまうのです。

このことはいくつかの論文で明らかにされています。

例えば、Brigham and Women’s HospitalのChang教授らは、就寝前の電子機器の使用がメラトニンの分泌を減少させることを論文として発表しました。具体的には、12人の健康な青年に対して、就寝前の読書を紙媒体で行う場合と読書を電子書籍で行う場合でメラトニンの分泌量を比較しました。結果、就寝前の読書を電子書籍で行った場合は、メラトニンの分泌が少なく、主観的な睡眠の質が低下していることが示されました(PNAS January 27, 2015 112 (4) 1232-1237)。

さらに、Psychiatric Hospitals of the University of BaselのCajochen教授らが行った研究によると、夜にLEDコンピュータスクリーンの光に曝露されると、メラトニンの分泌が遅れることが指摘されています(J Appl Physiol (1985). 2011 May;110(5):1432-8)。

また、日本大学の公衆衛生学の教授らが行った研究によると、消灯後の携帯電話の使用と睡眠障害の関係が明らかにされています。当該研究は、日本の13歳から19歳の青少年95,680人に対して実施され、消灯後の携帯電話の使用と睡眠時間の短縮、主観的な睡眠の質の低下、過度な日中の眠気、不眠症の関連が指摘されました(SLEEP 2011;34(8):1013-1020.)。

 

寝床ではスマホを触らない

「寝床でスマホ」は光との関係で睡眠を悪化させることは上記で説明してきたとおりです。これに加えて、「寝床でスマホ」が睡眠に悪影響を与える理由があります。それは、寝床でスマホを使用することにより、「寝床が眠る場所ではない」という条件付けがなされてしまう可能性があるというものです。したがって、寝床が眠る場所であるという条件付けをするために、寝床では何もしないことが望ましいでしょう。

 

よく眠りたいならば日没後はなるべく光を浴びないように心がけよう

就寝2時間前からはスマホやPC・タブレットは使用しないのが理想的です。また、夜は等に切り替えて、日常生活を送るうえで困らない程度にできる限り部屋を暗めにするのがよいでしょう。100ルクス以上の明るさでメラトニンの分泌が抑制されてしまうので、蛍光灯(75~300ルクス)はなるべく避け、白熱灯(50~100ルクス)や間接照明を使うことがポイントです。間接照明が気になる方はこちらをチェックしてみてください。

仕事や勉強等でどうしてもPCやタブレットを使用したい場合は、画面の明るさを調整したり、ブルーライトカットのメガネを着用するのがよいでしょう。

 

就寝時、スマホはまわりに置かない

また、質の高い睡眠を十分にとるためには、就寝時、スマホ等の電子機器をまわりに置かないことが望ましいでしょう。これに関しては、University of California BerkeleyのFalbe教授らが行った面白い研究があります。当該研究は2048人の児童に対して実施され、スマホのような電子端末をベッドのそばに置いて寝ていた児童は、そうでない児童と比較して睡眠時間が平均20.6分短く、睡眠に対する不満足度が1.39倍となることを結論づけました(Pediatrics, 135: e367-375, 2015)。

 

昼間はたくさん光を浴びよう

一方で日中の過ごし方も睡眠に影響を及ぼします。日中の光曝露が多いほど、メラトニンは、夜にたくさん分泌されます。日中に十分な光を浴びることは、よりよい睡眠につながるのです。「最近、よく眠れないなぁ」と感じている場合には、積極的に外出して太陽の光を浴びることや、太陽光が入る部屋で日中過ごすことをお勧めします。

「日中には光をよく浴び、夜は光をなるべく抑える」ことで、「今日はよく眠れたな」という日が増えてくるかもしれませんよ。

寝ないと太るは本当???

「最近、食べ過ぎてしまうなぁ」と罪悪感に苛まれているそんなあなた、睡眠を見直してみてはいかがでしょう。
食後のスイーツ、一杯ひっかけた後のラーメン、仕事や勉強の合間のスナック・チョコレート、ついついカロリーを摂りすぎてしまった経験、誰もがありますね。これ、実は、睡眠とホルモンが関係しているのです。

 

睡眠不足になると、食欲を抑制するレプチンというペプチドホルモンの分泌が減少する一方で、食欲を増進させるグレリンというペプチドホルモンの分泌が増加するため、食欲に歯止めがききにくくなります。すなわち、睡眠不足が食欲に関するホルモンのバランスを崩し、肥満につながりやすくなるのです。

 

 

 

実際、睡眠不足になると肥満傾向になるということが学術的にも数多く証明されています。

例えば、イングランドのワーウィックメディカルスクールが興味深い研究成果を発表しています。当該研究は、1982年から2007年の研究をもとに、総計30,002人の子供および604,509人の大人を対象として含んだメタ解析として実施され、短時間睡眠の子供は1.89倍・短時間睡眠の大人は1.55倍、肥満リスクが高まるという結論が導かれました(グラフ1)。

グラフ1

参考文献:P. Cappuccio, MD, Sleep, Volume 31, Issue 5, 1 May 2008, Pages 619–626

 

また、睡眠不足になるとカロリー摂取量が増加するということも明らかにされています。Nedeltcheva教授らがThe American Journal of Clinical Nutritionで公表した論文によると、睡眠不足になると1日のスナック摂取量が221キロカロリー増加することが証拠づけられました。当該研究は、11人(5人の女性・6人の男性)の健康なボランティアに、5.5時間または8.5時間の睡眠時間をそれぞれ設定し、摂取されたカロリーを測定するというものです。面白いのは、5.5時間と8.5時間の睡眠時間における摂取カロリーを比較すると、通常の食事からの摂取カロリーはそれぞれほぼ同様であるのに対して、スナックからの摂取カロリーのみが5.5時間睡眠において増加しているという結果です。すなわち、睡眠不足になると、221キロカロリー余分に食事ではなくスナック菓子から摂取してしまう傾向にあるのです。ちなみに221キロカロリーはチーズケーキ約1個分に相当します。

参考文献:Nedeltcheva, The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 89, Issue 1, January 2009, Pages 126–133

 

さらに、睡眠時間と食欲に関するホルモンとの関係性も証明されています。例えば、ウィスコンシン大学が実施したコホート研究により、睡眠不足が、食欲を抑制するレプチンの分泌を減少させ、食欲を増進させるグレリンの分泌を増加させることが明らかになりました。当該コホート研究は、1024人のボランティアを対象に実施され、5時間睡眠は8時間睡眠の人と比べて、レプチンの分泌が15.5%少なく、グレリンの分泌が14.9%多いことを定量的に示しています(グラフ2)。

グラフ2


参考文献;Taheri1, PLoS MEDICINE,Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index

 

このように睡眠と肥満には大きな相関性があります。「最近、食べ過ぎてしまうなぁ」「太りやすくなってきたかも」と思っているあなた、睡眠のとり方を見直してみてはいかかがでしょうか?

コーヒーを飲むとぐっすり眠れなくなる!?

コーヒーを飲むとぐっすり眠れなくなる!?

 

コーヒー文化は、江戸時代にオランダ商人が長崎の出島に持ち込んだものと言われています。それから約200年、コーヒー文化は定着し、いまや中高生からビジネスマン、お年寄りまで毎日の生活にコーヒーを欠かせない方が多いのではないでしょうか。その一方で、コーヒーを飲んだらぐっすり眠れなかった、なんて経験がある方もいるのではないでしょうか。今回は、睡眠とコーヒーに含まれるカフェインについて、お話ししていきたいと思います。

 

カフェインってどんなもの?

コーヒーには眠気覚ましの効果があるため、試験勉強の最中や重要な会議の前にコーヒーを飲むという習慣がある人も多いでしょう。眠気覚ましの効果があるのは、コーヒーに含まれるカフェインの影響です。カフェインには、中枢神経を覚醒させ、眠気や疲労感を軽減する作用があります。また、通常の量であれば学習と記憶に影響し、覚醒度を高めることによって一時的に反応時間、集中、運動コントロールを向上させる効果があることも明らかになっています。

さて、カフェインが含まれている飲料にはどのようなものがあるでしょうか? 以下の表1をご覧いただけるとわかるように、コーヒーのみならず、お茶、栄養ドリンク、チョコレート、ココアにもカフェインが含まれています。

 

表1

 

 

カフェイン摂取の弊害

カフェイン摂取には、上記のように眠気や疲労の軽減というメリットがありますが、摂取のタイミングや量を誤ると、寝つきや睡眠の質を悪化させてしまうという弊害があります。

このことは多くの学術論文にも掲載されています。例えば、就寝1時間前と3時間前にコーヒーを1杯ずつ飲んだ場合、睡眠潜時(入眠するまでにかかる時間)の延長、睡眠時間の短縮、睡眠の質の悪化がみられることが明らかにされています(表2)。

 

表2

 

さらには、就寝6時間前(多くの場合夕方)であっても、400mgのカフェインを摂取すると睡眠の質が悪化することが解明されています。すなわち、夕食後にコーヒーやエナジードリングを飲むと睡眠に悪影響が及んでしまうのです。

 

CAROLINE DRAPEAU,J. Sleep Res.(2006)15,133–141

Christopher Drake, Ph.D., Journal of clinical sleep medicine, Volume 09 No. 11

 

カフェイン摂取のタイミングと量に注意!

上記で説明してきたように、寝つきの良さを保ち、睡眠の質・量を確保するためには、カフェイン摂取のタイミングと量に留意する必要があります。摂取したカフェインの血中濃度が半分になるまでにかかる時間(半減期)は、3~7時間です。このため、カフェイン量を多く含むコーヒーは、昼過ぎ以降は飲まない方がよいでしょう。緑茶やウーロン茶であっても、夕食後は控えることが理想的です。

最近は、美味しいカフェインレスコーヒーが比較的手軽に入手できるようになってきました。またハーブティーや麦茶、ごぼう茶など、茶葉を含まないお茶であればカフェインを含みませんので、寝る前のリラックスタイムにお薦めです。

近頃ぐっすり眠れないなぁと感じていたら、カフェインの摂り方を見直してみてはいかがでしょうか?