導入事例-KTC中央高等学院様

導入事例-KTC中央高等学院様

 <抱えていた課題>

生徒の登校率・出席率の低下に困っている実感はあったものの、具体的な取り組み案がなかった。

在籍数の割に出席率が5060%という数値だったため、まずは学校に来てもらうためにはどうしたらいいのかを悩んでいた。

 

<導入の成果>

3日以上欠席をしている生徒の睡眠と出席率に大きな関係性があることを発見。

睡眠質問票を使ったアンケートで現状を把握し、“睡眠がとれていない”“生活リズムが崩れている”生徒が週3日以上休んでいることが明確になった。

その後、睡眠で悩んでいるご家族や生徒を対象に、面談を実施することで症状の改善をした人が増えた。学校・医師・家族の協力と本人の努力で、出席率・登校率ともに3040%アップした。

 

<インタビュー:KTC中央高等学院 伊藤先生>

◆睡眠プログラム導入以前のことを教えてください。

登校日数・出席日数が減少している生徒のフォローにはずっと課題を感じていたけれども、具体的な取り組み案はありませんでした。「朝起きられない」という声を多く聞き、もしかしたら睡眠がきっかけになるのでは、とは思っていました。

ただ、どうやったら起きるのか、朝起きて来ない理由はどこにあるのか、さらには改善方法が全く分からない…という状況でした。

学校で朝ご飯を出したら来てくれるのではないか、などということを本気で考えたこともあります。

そのような時、同じように困っていた経験のある共通の知人を介して、睡眠を専門としている志村先生と知り合いました。

◆どのような取り組みを実施されましたか?

まず、睡眠について、KTC教職員向け勉強会を行ったところ、多くの共感が得られました。

その後、睡眠質問票を使ったアンケートで、各生徒の現状把握を行い、睡眠があまりとれていなかったり、生活リズムが崩れていたりする生徒が週3日以上休んでいる傾向を発見しました。

面談は、睡眠で悩んでいる生徒やご家族を募って実施しました。2ヶ月ぐらいで約20組もの親子の申し込みがあったのを覚えています。

現状調査・面談・睡眠に関しての定期的な勉強会などを行うこのプログラムは、今年で3年目に入っています。

◆導入した結果を教えてください。

単純に、状況が良くなった生徒たちがとても増えました。実は、退学をしてしまうのではないかと心配していた生徒たちが、しっかり登校するようになり、卒業できた時は本当に嬉しかったです。

困っている自覚がある生徒にとっては、間違いなく良い改善が見られました。具体的に、出席率・登校率ともに全体で3040%向上したという数値も出ています。

学内向け・一般向けのセミナーなどを開催していく中で、“睡眠”というものに対して困っている先生や学校が思いのほか多かったことも、大きな気づきの1つです。

◆今のプログラムの課題があれば、聞かせてください。

改善ができている生徒・できていない生徒が二極化してしまっていることが次の課題です。

アドバイスいただいたことや、「自分がやる」と約束したことができたかどうか、中々やらない生徒がいかに改善案に取り組んでくれるようになるかなど、取り組みを洗練させていけるかどうかがポイントになってきています。

プログラムを導入して以降、「睡眠に困っている」という保護者の声が増加し、問い合わせ総数も増えています。

生徒たちの睡眠への関心が高まっているという実感があるため、面談や、それを受けての改善方法、そして、実践することで起きる”良いこと”を、もっと前面に打ち出していく必要があると感じています。

◆保護者の方や悩んでいる生徒さんへ伝えたいこと

睡眠の問題を、「やれば出来る」と捉えて、何とか“普通の生活”をしよう、させようとしている生徒さんやご家族にお会いすることがあります。ただ、できれば“入れる学校”ではなく、本人のペースや体調に合った“卒業できる学校”へ入れて欲しいと感じます。

また、寝ることの大切さを早い段階で知ってほしいですね。睡眠は生活すべてに良くも悪くも影響をもたらします。

そして、”寝る”ということが変わると、“生きる”ということが変わります。具体的に言うと、明るくなったり社交的になったりと、性格も大きく変わります。

習慣付けは時間がかかるかもしれないけれど、“朝起きるための原理”や“起きられない理由”が分かるだけでも、生活に変化が起きます。そうすると、「大事な時に寝坊しなければ、まずは大丈夫」という意識が芽生え、そこから次のステップに進めます。

眠れないという子に、自分でも実際に言ったけれど、「夜は蛍光灯やめた方がいいよ」とか、「アフタヌーンティー以降はコーヒーやお茶はやめた方がいいよ」「スマホを控えてみた方がいい」とかを言ったりしました。

面談については、「まずは、相談してみたらどう?」と思います。「口に出したほうが、ためこまないほうが、自分の体のためになるよ」と言いたいですね。

是非、こういう取り組みは続けたいと思っています。

身近で話せる人や詳しい人はなかなかいないし、そこでどうしたらいいかとアドバイスしてもらえるのがすごく助かります。今回の取り組み全般を振り返り、教職員や保護者・生徒と、睡眠を介して共通言語ができたことは、学校としても、私としても、とても大きかったです。

 

<生徒の生の声>

そもそも、この学校に入った理由が人間関係のトラブル、そして不登校でした。そこから生活習慣が壊れて、崩れて…

それが、今は0:307:00/10:00程度でしっかり眠ることができています。今日は9時間、普段も7-8時間が普通になり、睡眠の量も質も改善することができたと思います。

もっと早くやっとけばよかったです。

朝スッキリできていれば外に出たくなりますし、交友関係もできるようになります。今回の取り組みを経て、元々家で何もしたくないなと思っていたのが、外で友達と遊びたいなと思うようになりました。

(アフターインタビュー 伊藤先生)

そもそもの不登校原因は、“登校拒否”ではなく、“起きられなかった”ということでした。でも、このプログラムを経て、2年からしっかり登校できるようになって、友達ができるようになって、3割くらいしか登校しなかったのが、6割くらいは来るようになり、とても明るい子になりました。