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研究報告:適切な睡眠時間と食事タイミングが減量効果を最大化する ~こどもみらい・RIZAP株式会社・東京医科大学の共同研究結果が公表されました~

株式会社こどもみらいの学術部(統括医:志村哲祥)は、RIZAP株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:瀬戸 健)および東京医科大学と共に、睡眠時間や体内時計がダイエット効果に与える影響について共同研究を行いました。

研究の概要

本研究では、RIZAP株式会社が提供する運動・食事指導のプログラム参加者の匿名化データについて、睡眠や体内時計・食事タイミングが減量効果に与える影響を分析した結果、

  • 週平均6~7時間の睡眠が減量効果を最大化させること
  • 睡眠時間が過少でも過多でもその効果が損なわれること
  • 食事のタイミングは、実際の時刻よりも「体内時計に対応したタイミング」の方が、体重・体脂肪変動への影響が大きいこと

などが明らかになりました。

これらの結果は、パシフィコ横浜で行われた日本睡眠学会第45回定期学術集会・第30回日本時間生物学会学術大会 合同大会(2023年9月)にて、ポスター発表として公表されました。

本共同研究に関する詳細は、RIZAPグループ株式会社のリリース(下記)をご確認ください。

第1弾:週平均6~7時間の睡眠が減量効果を最大化 ~年代別に減量に適した睡眠時間を実証。RIZAP・chocoZAPプログラムにも反映へ~

第2弾:減量に最適な食事タイミングを医学的に検証 ~体内時計を意識した食事方法により減量効果がアップ。RIZAP/chocoZAPの食事指導メソッドにも反映へ~

 

株式会社こどもみらいでは、ヘルスケアデータの分析や、健康・睡眠や組織改善に関するプロジェクトのご相談を受け付けています

こどもみらいでは、企業・学校向けのヘルスケアサービスの提供から、睡眠や健康などヘルスケアを通じた組織改善まで、「エビデンスに基づくヘルスケア」のプロジェクト参加を積極的に行っております。

ご相談、お問い合わせはこちらからご連絡下さい。

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睡眠改善プログラムeSLEEP WEB API v2 公開のお知らせ

日本人の2人に1人は睡眠に何らかの問題を抱えているとされる中、こどもみらいの提供する睡眠改善プログラム「eSLEEP」における、「その人が睡眠にどのような問題を抱えていて、その原因がどこにあり、何をすれば睡眠を改善できるのか」を提示する仕組みについて、WEB API ver.2の供用を開始いたしました。

eSLEEP WEB APIについて

睡眠の評価と問題同定

「良い眠り」は単純な要素で定義できるものではありません。現状の睡眠に問題があるのかどうかを、適切に評価することはとても重要です。そして、不眠や中途覚醒、日中過眠、睡眠休養感の欠如といった「睡眠の問題」を改善するためには、第一に「現状の評価」と「原因の把握」、そして「睡眠衛生」の改善を行うことが必要です。

睡眠の問題を生じる原因としては、睡眠スケジュールや睡眠衛生の問題に加えて、100種類以上もの睡眠障害や睡眠に影響しうる心身の疾患等が存在し、日常でよく遭遇する頻度の高いものだけに絞っても、少なくとも数十個以上の要素があります。

このため、睡眠カウンセリングや医療機関における睡眠の診察で、すべての人に包括的・網羅的な問診を対面で行うことは、現実的にはかなりの困難があります。

さらに、複数の問題が同時に検出された場合に「どこから手をつけるべきか、どの優先度で改善・対処を促すべきか」をその場で鑑別することも困難です。しかし、優先順位付けを行わないと、総花的で改善効果の乏しい対応に終始してしまうリスクがあります。

一部設問を自動生成する半構造化面接による睡眠の問題の同定

そこで、eSLEEPでは以下の流れで睡眠の評価と問題の同定を行い、それに基づいて問題を改善するためのコメントを返す仕組みを構築しており、これにより個々人に合わせた最適な睡眠衛生指導と、睡眠障害の疑いの検出を可能にしています。本WEB APIは、この一連の処理をさまざまな方法・ソフトウェアで外部から提供するためのソリューションです。

1) 基本的な睡眠の状況について本人や周囲の人等が、PC/スマホ等からアプリ等の問診票に入力する

2) APIはその回答に応じて、睡眠に問題がある場合、その原因を探るための追加質問を生成する。このとき、包括的な問診をすると膨大な設問数になってしまうため、基礎的な項目以外の設問はAPIが自動で追加生成する

3) 追加質問にも回答した結果、睡眠の問題として考えられる要因を本人および指導者(医師・メンター等)へレポートする。この時、対処によって睡眠が改善する度合いが高いと思われるものから重み付けをして優先的に提示をする。また、睡眠障害の可能性が考えられるものについてもアラートを行う

エビデンスと稼働実績

この、個々人に合わせた最適な睡眠衛生指導と、睡眠障害の疑いの検出を可能にするシステムおよびAPIは、以下の用途に利用され、成果を挙げています。

■学術研究: 本システムを利用した睡眠衛生指導RCT(ランダム化比較試験)にて、睡眠の改善とそれに伴う副次的アウトカムの改善を確認

  • 高校群を対象とした介入で、睡眠の指標(PSQI)の改善と、欠席率の減少、プレゼンティーイズムの改善、退学率の減少等を確認 (Sleep Medicine 2019)
  • ホワイトワーカーを対象とした介入で、睡眠の指標(PSQI)や寝つき・中途覚醒回数の改善や、生産性の改善等を確認 (経済産業省リビングラボ 2020)
  • 同定された睡眠の問題(睡眠衛生・睡眠障害)の陽性的中率89.9% (不眠研究 2022)

■利用実績: 主に睡眠の問題を把握して改善するシステムとして利用されています

  • 健康情報管理WEBシステム内におけるセルフケアとしての睡眠改善プログラムで提供
  • ストレスチェックのWEB/マークシートのレポートシステムに組み込み、睡眠評価レポートとして提供
  • 不登校等支援機関において睡眠に問題がある方のカウンセリングサポートシステムとして使用
  • 複数医療機関の睡眠外来あるいは精神科において初診問診票として利用
  • 企業内保健部門において、従業員が利用可能な睡眠改善ウェブサイトとして利用

 

eSLEEP WEB API (v1)からの主要なバージョンアップポイント

  • 個別化された睡眠改善・アドバイスコメントの精緻化: 約10億通り(v1)→約1兆通り(v2)
  • 学術的分析を経て、睡眠の問題絞り込みアルゴリズムのブラッシュアップを実施
  • 初期必須質問の削減・回答負荷の軽減: 初期画面平均回答時間 約6分(v1)→約4.5分(v2)
  • 特許取得内容アルゴリズムの組み込み(特許第6478906号、特許第6722911号、特許第7125223号)※
  • 多言語対応
※知財情報

本APIや睡眠改善システムは、(株)こどもみらいおよびその開発者の保有する以下の知的財産を利用しています。

  • 特許第6478906号「疾患検出システムおよび疾患検出方法」
  • 特許第6722911号「個人別の概日リズムに基づく生活時刻の提示システム」
  • 特許第7125223号「睡眠問題改善支援システム」

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利用シーン
  • 自社のサービスに、「睡眠の改善」や「睡眠の評価」を盛り込みたいヘルスケア事業者様(メンタルヘルス、特定保健指導、カウンセリング、スマホアプリ等)
  • 自社の顧客/クライアントの課題を、睡眠の観点からサポートしたい事業者様
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生活習慣と睡眠の問題は将来の精神的不調に直結する: 研究論文発表

職場の中だけでなく、スタッフをとりまく環境である生活習慣や睡眠についても改善させ、真に有効なストレス対策を目指すこどもみらいのストレスチェックサービス「STRESCOPE」。

STRESCOPEのデータを用いた、東京医科大学(精神医学分野産業精神医学支援プロジェクト)、東京大学(未来ビジョン研究センター)、東京桜十字(産業保健)等の共同研究により、仕事のストレス要因等とは独立して、食事や、飲酒習慣、睡眠習慣等の、それぞれの具体的な生活習慣が、将来の心身のストレス反応の増減と有意に関係すること、さらには、「不調があるから睡眠や生活習慣が乱れる」のではなく、「睡眠や生活習慣が乱れると将来不調を生じる」ことが、明らかになりました。

人間は仕事のストレスだけで精神的な健康を崩すわけではありません。社員のメンタルヘルスを維持するためには、より広い視点に立ち、健康で幸福な過ごし方を提供し、また、調査することが必要です。本研究は、社員自らがセルフケアとして対策できる、あるいは、福利厚生・ナッジ等を通じて会社側が社員へ提供できる、生活習慣・睡眠の改善が、ストレス対策にも結びつくことを示した、世界的にも新規性の高い画期的な研究となっています。

本研究の成果は、日本精神神経学会の学術誌、精神神経学雑誌に掲載されました。

志村哲祥, 石橋由基, 横井克典, 西川朋希, 岬昇平, 小嶋麻美, 今泉 佑花, 古井 祐司, 井上猛. (2023). 生活習慣と睡眠の問題が精神的不調に与える影響についての縦断的分析. 精神神経学雑誌= Psychiatria et neurologia Japonica125(1), 27-41.3

https://doi.org/10.57369/pnj.23-004

無料ウェビナー【ハラスメント “予防” 対策の考え方】を開催します

ー人事・労務・総務向け  最新の現場事例に基づく内容から―

株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区)は、人事・労務・総務向けの無料ウェビナー「ハラスメント “予防” 対策の考え方」を開催します。

 

ハラスメントになる/ならないの線引きは、どのようにしたらよいのでしょうか?
「なんとなく」分かったつもりになりがちなハラスメントの境界線の考え方と、具体的な予防対策(1次予防・2次予防・3次予防)について、事例を交えてわかりやすく解説していきます。

セミナー概要

  • 日時:
    • 2022年5月19日(木)11:00-12:00
    • 2022年5月24日(火)14:00-15:00
  • 参加方法:ウェブセミナー配信ツール「Zoom」を利用して配信いたします。
  • 参加費:無料
  • 主催:株式会社こどもみらい

こんな方におすすめです

  • 自社のハラスメント対策の策定でお困りのご担当者様
  • 社内のハラスメント対応窓口ご担当者様
  • ハラスメント予防対策事例を学びたいご担当者様
  • これから社内でハラスメント対応を強化していきたいご担当者様

 

詳細・お申込み

こちらのページよりお申込みください。

株式会社こどもみらいについて

株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームです。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。

STRESCOPE について

STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。

eSLEEPについて

eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。

 

本件に関するお問合せ先

株式会社こどもみらい info@strescope.jp

経済産業省リビングラボで、睡眠改善の生産性向上効果を実証

経済産業省内リビングラボにおいて、睡眠に関する測定・分析と睡眠保健指導を行い、睡眠の質と生産性の大幅な改善を実証・報告しました。

こどもみらいでは、令和2年1月~3月に経済産業省において実施された「睡眠」をテーマとする省内リビングラボに参加し、睡眠に関する各種ベース指標の測定・分析、そして睡眠保健指導「eSLEEP」の実施とフォローアップを行い、その結果、睡眠の質や生産性の大幅な改善が見られたことを報告しました。

 

測定・分析結果

睡眠に関する各種ベースの指標を、睡眠の質や睡眠衛生、そして生産性を合わせて調査できるストレスチェックサービス「STRESCOPE」と「eSLEEP」を活用し、以下の指標について測定を行いました。

・睡眠の質(PSQI: ピッツバーグ睡眠質問票)

・ストレス反応(職業性ストレス簡易調査票)

・生産性の低下(WLQおよびWHO-HPQ)

この結果、回答者96名中45名が医学的問診票上「睡眠の問題あり」と判定され、また、46名は本人の本来の生産性を4割以上損なっていることなどがわかりました。

 

保健指導・フォローアップ結果

対象者をランダムに介入群と対照群に割り付ける「ランダム化比較試験」を実施し、介入群に割り付けられた42名に対して、「eSLEEP」を利用し、1対1による対面の面談形式での睡眠保健指導およびフォローアップを提供しました。

この結果、特に事前に睡眠に関する問題があったグループについて、睡眠の質・生産性に以下のような大幅な改善が見られました。

睡眠障害スコア(PSQI) 22.1% 改善**
寝つくまでの時間(平日) 39.6% 短縮**
寝つくまでの時間(休日) 33.6% 短縮**
中途覚醒等の頻度 19.0% 減少**
プレゼンティズム(WLQ生産性ロス) 17.7% 改善*
生産性(HPQ) 25.6% 改善*

**,*=統計学的にそれぞれ5%水準、10%水準で有意

面談を受けた方のアンケートより

総合的に面談を受けて良かったと思いますか?

参加者の意見・感想(抜粋)

・睡眠が身体と心に与える影響を知り、睡眠時間を確保する生活を心がけるようになった

・平日と休日の睡眠時間の差(特に時間帯)を可能な限りゼロにすることが精神・肉体のリズム管理に重要であることを認識できた

・地道に面談を通じ、睡眠も含め、食事や運動など、生活全般についてのアドバイスを受け、行動変容を促すのは、ありだな、と思った

・繁忙部署・職員にこそこのようなラボを受けることが重要だと思う。

・組織として対策を同時に取らないと、この取組によって具体的な効果があるかどうか評価することも難しいと思います。

 

経済産業省内リビングラボについて

リビングラボは、社会課題を解決するビジネスを生み出す手法として近年注目されている、ユーザー・市民参加型の共創活動であり、多様なステークホルダー(生活者、民間企業、自治体職員等)が共に関わり合いながら革新的な商品・サービスの開発・向上を目指す点に特徴があります。

経済産業省では、リビングラボの考え方を全国的に周知・普及することや、企業・団体等の組織単位のリビングラボモデルを構築することを目的として、3000人超の職員(生活者)を抱える経済産業省も一つのリビングラボとなるのではという考えのもと、省内リビングラボの取り組みを行いました。

具体的には、経済産業省の組織・職員が業務に関連して日常的に抱えている課題の一つとして、「睡眠」をテーマに、職員が「①介入策(プログラム)」を実践しながら、心理的ストレスに関係性の高い指標を測定するための「②測定機器」を使用し、それぞれをベース測定指標(信ぴょう性の高いとされるもの)と比較することで効果の検証を行う、という形により実施をしました。

 

こどもみらいでは、睡眠・健康に関するプロジェクトのご相談を受け付けています

株式会社こどもみらいでは、睡眠や健康に関するプロジェクト参加など各種サービスを企業・学校向けに提供しています。

お問い合わせはこちらからご連絡下さい。

お問い合わせ

 

株式会社こどもみらいについて

株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームです。複数の大学医学部等との協働で行う睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となるストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。

 

eSLEEPについて

eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。

 

STRESCOPE について

STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。

研究報告: 食事の不規則さは心身の不調や睡眠の問題を招き、プレゼンティズムが生まれる: STRESCOPE/eSLEEPのデータから明らかに

今般こどもみらいでは東京医科大学精神医学分野との協働で、食事の不規則さが心身の健康やパフォーマンスに与える影響を統計学的に明らかにしました。
Hayashida, T., Shimura, A., et al. Psychosomatic Stress Responses and Sleep Disturbance Mediate the Effects of Irregular Mealtimes on Presenteeism. Neuropsychiatric Disease and Treatment, 2021, 17: 315. https://doi.org/10.2147/NDT.S292249
食事が不規則だと疲労感の増加や抑うつの増大、また、睡眠の問題が生じやすくなること、そしてそれらが労働生産性の低下につながることが、世界で初めて示されました。

規則的な食事には概日リズム(体内時計)を整えたり、食後高血糖を予防したりするメリット示唆されています。

今回の研究では、規則的な食事はメンタルヘルスにも良い影響を与え、かつ、生産性にも意義があることが示されました。

職域の有用なセルフケアの方策が新たに見いだされた研究成果です。

研究報告: 睡眠の問題は少なくとも日本全体で7.5兆円の損失を招き、仕事のストレスにも強く影響。どのようにしたらカバーできるのか? こどもみらいSTRESCOPE/eSLEEPのデータから明らかに。

国際的な医学誌に睡眠と生産性、および睡眠改善施策に関するこどもみらいの論文が受理され発表されました。

「睡眠不足で日本のGDPは2.9%損なわれている可能性があり、最大で15兆円」とした、アメリカ・ランド研究所の有名な推計があります。
https://doi.org/10.7249/RR1791

しかし今に至るまで、日本において、実際のデータをもとにした調査・研究は存在しませんでした。

今回、株式会社こどもみらい・東京医科大学・慶應義塾大学からなる共同研究チームは、こどもみらいのストレスチェックサービス「STRESCOPE」ならびに睡眠改善サービス「eSLEEP」の実社会におけるデータを分析することで、睡眠と生産性の関係をより精緻に明らかにしました。さらに仕事のストレスに与える影響も分析し、加えて改善の方策についても学術的に明確にしました。一連の本研究が医学誌に受理され発表されたのでご報告します。

(1) 睡眠と生産性の関連

(2) 睡眠と職業性ストレスの関連

(3) 睡眠改善のための具体的な方策

(1) 睡眠と生産性の関連

図1: 睡眠時間と生産性ロス 7時間台睡眠と比較した時の生産性低下

図2: 睡眠の問題の中身と生産性

この研究の結果分かったことは、「とにかく睡眠時間をとることが大切」という単純なものではないということです。まず年齢によってその影響は大きく異なります。若い方(33歳以下)は睡眠不足に非常に弱く、睡眠時間が減るほど生産性も低下する一方で、必要睡眠時間が減少するとされる高年齢世代のたとえば51歳以上では、睡眠時間が7時間を下回っても、特に生産性は影響を受けませんでした。
さらに睡眠をそのコンポーネント(量、質、リズム、日中機能)に分けて詳細に分析した結果、全ての影響を調整すると(重回帰分析を実施すると)、睡眠の長さが大切というよりは、睡眠の質の影響も含めて、「実際に昼間眠くなってしまうかどうか」が生産性低下に重要な影響を与えていることが明らかになりました。
そして、「睡眠に問題がある」と判定される人とそうでない人とでは生産性に少なくとも2.99%の差が生まれ、これはGDPに換算すると7.5兆円に及ぶことが分かりました。

本研究は米国国立睡眠財団の学会誌「Sleep Health」に受理・掲載されました。
出典: Ishibashi, Y., & Shimura, A. (2020). Association between work productivity and sleep health: A cross-sectional study in Japan. Sleep Health. https://doi.org/10.1016/j.sleh.2020.02.016
慶應義塾大学衛生学公衆衛生学教室・株式会社こどもみらい 石橋由基
東京医科大学精神医学分野・株式会社こどもみらい 志村哲祥

睡眠と職業性ストレスの関連

次いで、仕事のストレスも加味した研究が実施されました。

図3: 仕事のストレスと睡眠と生産性低下

その結果、睡眠の問題は仕事のストレスによって生じる部分はあるも、一部にとどまること(R2=12.1%)。
一方、心身のストレス反応に与える影響は仕事のストレスを凌駕していること(パス係数0.438>0.340)。
そして睡眠の問題は直接的に、あるいは心身のストレス反応を介して間接的にも、生産性低下に影響していることなどが明らかになりました。

本研究は国際的な精神医学雑誌である「Neuropsychiatric Disease and Treatment」に受理・掲載されました。
出典: Furuichi, W., Shimura, A., Miyama, H., Seki, T., Ono, K., Masuya, J., & Inoue, T. (2020). Effects of Job Stressors, Stress Response, and Sleep Disturbance on Presenteeism in Office Workers. Neuropsychiatric Disease and Treatment, 16, 1827. https://doi.org/10.2147/NDT.S258508
東京医科大学精神医学分野 古市亘、井上猛ら
東京医科大学精神医学分野・株式会社こどもみらい 志村哲祥
他4名

睡眠改善のための具体的な方策

このように生産性や心身の健康に様々な影響を与える睡眠ですが、ではどのようにすれば睡眠を改善させることはできるのでしょうか。特に、医療に至る前の段階で、個々人にできることは何かあるのでしょうか。
日々の生活と睡眠の問題に関する関連を調べました。

図4: 生活習慣と睡眠の問題

その結果、様々な生活習慣が睡眠の問題と関連しており、たとえば上図に挙げられているようなリスクファクターが存在すれば、それを是正していくことで、睡眠の問題を如実に改善させていくことが可能である可能性が示唆されました。この知見は次世代の睡眠衛生指導の基盤となるものです。
なお、本成果を応用した睡眠改善プログラムのランダム化比較試験の効果については既にリリース済です。 (「睡眠改善プログラム「eSLEEP」による生産性向上効果を医学的に実証」 https://cfltd.co.jp/archives/20181225_1133 )

本研究は米国国立睡眠財団の学会誌「Sleep Health」に受理・掲載されました。
出典: Shimura, A., Sugiura, K., Inoue, M., Misaki, S., Tanimoto, Y., Oshima, A., … & Inoue, T. (2020). Which sleep hygiene factors are important? comprehensive assessment of lifestyle habits and job environment on sleep among office workers. Sleep Health. https://doi.org/10.1016/j.sleh.2020.02.001
東京医科大学精神医学分野・株式会社こどもみらい 志村哲祥
慶應義塾大学経済学研究科・ヒューストン大学・株式会社こどもみらい 杉浦航
東京桜十字 岬昇平、小嶋麻美ら
他5名

株式会社こどもみらいについて

株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。 

 

STRESCOPE について

STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。

 

eSLEEPについて

eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。

 

本件に関するお問合せ先

株式会社こどもみらい info@strescope.jp

 

無料セミナー「最高のパフォーマンスを引き出す生活リズムデザイン術」を開催します

―人事・労務向け、最新の医学的根拠に基づく内容から―

株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区)は、人事・労務・総務向けの無料ウェビナー「リモートワーク時代のメンタルヘルス対策」を開催します。

テレワークの導入により労働時間や働き方が多様化し、 生活様式が以前とは大きく変化しています。

このような環境下で従業員のメンタル不調や生産性低下を防ぎ、 最大のパフォーマンスを発揮してもらうコツは、 生活リズムを適切にデザインすることです。

本セミナーでは、 体内時計の仕組みに関する最新の研究結果をもとに、 生産性の高まる時間・下がる時間やその個人差、 生活リズムをデザインする具体的な方法についてお伝えします。

お申込みはこちら

セミナー概要

  • 日時:
    • 2020年10月5日(月) 16:00~17:00
    • 2020年10月7日(水) 14:00~15:00
  • 参加方法:ウェブセミナー配信ツール「Zoom」を利用して配信いたします。
    参加方法の詳細は、お申込みいただいた方へ個別にご連絡させて頂きます。
  • 参加費:無料
  • 対象:人事・労務・総務部門のメンタルヘルスご責任者/ご担当者様、産業保健スタッフ様
  • 主催:株式会社こどもみらい
    ※競合他社様の視聴はご遠慮いただいております。ご了承ください。

お申込みはこちら

株式会社こどもみらいについて

株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。 

 

STRESCOPE について

STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。

 

eSLEEPについて

eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。

 

本件に関するお問合せ先

株式会社こどもみらい info@strescope.jp

 

睡眠の問題は仕事のストレス反応を増幅させ生産性を損なう: STRESCOPEデータの分析が発表されました

東京医科大学精神医学分野の研究チームは、STRESCOPE®*で得られたデータを分析し、睡眠の問題は職業性ストレスで生じる心身のストレス反応を増悪させること、さらには直接あるいはこのストレス反応を介して、職域の生産性を損なうことを明らかにしました。
睡眠のケアが従業員のメンタルヘルスのケアに直結するのみならず、組織の生産性を高めることができる有用なツールであることを示唆する結果が示されています。
本研究成果は精神医学に関する国際誌である「Neuropsychiatric Disease and Treatment」に掲載されました。

Furuichi, W., Shimura, A., Miyama, H., Seki, T., Ono, K., Masuya, J., & Inoue, T. (2020). Effects of Job Stressors, Stress Response, and Sleep Disturbance on Presenteeism in Office Workers. Neuropsychiatric Disease and Treatment16, 1827.

 

*STRESCOPE®はこどもみらいの提供するストレスチェックサービスです。職業性ストレッサーの測定に加え、従業員がセルフケア可能な、「ストレスに関連する生活習慣/睡眠習慣」も調査し、その結果を本人や組織にフィードバックすることで、メンタルヘルスの改善につなげることができるサービスです。この研究には、STRESCOPEを利用された方のうち、学術目的での匿名化データ利用に同意された方のデータが分析されました。

睡眠の問題は日本で7.5兆円の損失をもたらしている: 睡眠と生産性に関するこどもみらいの最新の研究が出版されました

こどもみらい・東京医科大学・慶應義塾大学からなる研究チームは、「睡眠の問題の存在が生産性を統計的には少なくとも約3%押し下げる」こと、そして2人に1人は睡眠に問題を抱えるとする日本の現状からすると、これは日本全体において最低でも7.5兆円の経済損失をもたらしていることを明らかにし、この研究成果がアメリカ国立睡眠財団の”Sleep Health”にて発表されました。

他にも「寝不足」による生産性低下は若年者ほど深刻であり、本来約8時間の睡眠時間が平均的には必要とされる20代前後の労働者では、平日の睡眠時間がそれを下回るごとに生産性の低下(プレゼンティーイズム)が生まれること、さらには全年齢的に「休日の寝溜め」はむしろ生産性を損なってしまうことなどが明らかになりました。

本成果は「どのような睡眠が社会の活力につながるのか」を示唆すると共に、日本において初めて詳細に睡眠と生産性との関連を検討した研究です。

この研究成果はSleep Healthの2020年6月号に掲載されています。

Ishibashi, Y., & Shimura, A. (2020). Association between work productivity and sleep health: A cross-sectional study in Japan. Sleep Health.