「睡眠不足で日本のGDPは2.9%損なわれている可能性があり、最大で15兆円」とした、アメリカ・ランド研究所の有名な推計があります。
https://doi.org/10.7249/RR1791
しかし今に至るまで、日本において、実際のデータをもとにした調査・研究は存在しませんでした。
今回、株式会社こどもみらい・東京医科大学・慶應義塾大学からなる共同研究チームは、こどもみらいのストレスチェックサービス「STRESCOPE」ならびに睡眠改善サービス「eSLEEP」の実社会におけるデータを分析することで、睡眠と生産性の関係をより精緻に明らかにしました。さらに仕事のストレスに与える影響も分析し、加えて改善の方策についても学術的に明確にしました。一連の本研究が医学誌に受理され発表されたのでご報告します。
(1) 睡眠と生産性の関連
(2) 睡眠と職業性ストレスの関連
(3) 睡眠改善のための具体的な方策
図1: 睡眠時間と生産性ロス 7時間台睡眠と比較した時の生産性低下
図2: 睡眠の問題の中身と生産性
この研究の結果分かったことは、「とにかく睡眠時間をとることが大切」という単純なものではないということです。まず年齢によってその影響は大きく異なります。若い方(33歳以下)は睡眠不足に非常に弱く、睡眠時間が減るほど生産性も低下する一方で、必要睡眠時間が減少するとされる高年齢世代のたとえば51歳以上では、睡眠時間が7時間を下回っても、特に生産性は影響を受けませんでした。
さらに睡眠をそのコンポーネント(量、質、リズム、日中機能)に分けて詳細に分析した結果、全ての影響を調整すると(重回帰分析を実施すると)、睡眠の長さが大切というよりは、睡眠の質の影響も含めて、「実際に昼間眠くなってしまうかどうか」が生産性低下に重要な影響を与えていることが明らかになりました。
そして、「睡眠に問題がある」と判定される人とそうでない人とでは生産性に少なくとも2.99%の差が生まれ、これはGDPに換算すると7.5兆円に及ぶことが分かりました。
本研究は米国国立睡眠財団の学会誌「Sleep Health」に受理・掲載されました。
出典: Ishibashi, Y., & Shimura, A. (2020). Association between work productivity and sleep health: A cross-sectional study in Japan. Sleep Health. https://doi.org/10.1016/j.sleh.2020.02.016
慶應義塾大学衛生学公衆衛生学教室・株式会社こどもみらい 石橋由基
東京医科大学精神医学分野・株式会社こどもみらい 志村哲祥
次いで、仕事のストレスも加味した研究が実施されました。
図3: 仕事のストレスと睡眠と生産性低下
その結果、睡眠の問題は仕事のストレスによって生じる部分はあるも、一部にとどまること(R2=12.1%)。
一方、心身のストレス反応に与える影響は仕事のストレスを凌駕していること(パス係数0.438>0.340)。
そして睡眠の問題は直接的に、あるいは心身のストレス反応を介して間接的にも、生産性低下に影響していることなどが明らかになりました。
本研究は国際的な精神医学雑誌である「Neuropsychiatric Disease and Treatment」に受理・掲載されました。
出典: Furuichi, W., Shimura, A., Miyama, H., Seki, T., Ono, K., Masuya, J., & Inoue, T. (2020). Effects of Job Stressors, Stress Response, and Sleep Disturbance on Presenteeism in Office Workers. Neuropsychiatric Disease and Treatment, 16, 1827. https://doi.org/10.2147/NDT.S258508
東京医科大学精神医学分野 古市亘、井上猛ら
東京医科大学精神医学分野・株式会社こどもみらい 志村哲祥
他4名
このように生産性や心身の健康に様々な影響を与える睡眠ですが、ではどのようにすれば睡眠を改善させることはできるのでしょうか。特に、医療に至る前の段階で、個々人にできることは何かあるのでしょうか。
日々の生活と睡眠の問題に関する関連を調べました。
図4: 生活習慣と睡眠の問題
その結果、様々な生活習慣が睡眠の問題と関連しており、たとえば上図に挙げられているようなリスクファクターが存在すれば、それを是正していくことで、睡眠の問題を如実に改善させていくことが可能である可能性が示唆されました。この知見は次世代の睡眠衛生指導の基盤となるものです。
なお、本成果を応用した睡眠改善プログラムのランダム化比較試験の効果については既にリリース済です。 (「睡眠改善プログラム「eSLEEP」による生産性向上効果を医学的に実証」 https://cfltd.co.jp/archives/20181225_1133 )
本研究は米国国立睡眠財団の学会誌「Sleep Health」に受理・掲載されました。
出典: Shimura, A., Sugiura, K., Inoue, M., Misaki, S., Tanimoto, Y., Oshima, A., … & Inoue, T. (2020). Which sleep hygiene factors are important? comprehensive assessment of lifestyle habits and job environment on sleep among office workers. Sleep Health. https://doi.org/10.1016/j.sleh.2020.02.001
東京医科大学精神医学分野・株式会社こどもみらい 志村哲祥
慶應義塾大学経済学研究科・ヒューストン大学・株式会社こどもみらい 杉浦航
東京桜十字 岬昇平、小嶋麻美ら
他5名
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区)は、人事・労務・総務向けの無料ウェビナー「リモートワーク時代のメンタルヘルス対策」を開催します。
テレワークの導入により労働時間や働き方が多様化し、 生活様式が以前とは大きく変化しています。
このような環境下で従業員のメンタル不調や生産性低下を防ぎ、 最大のパフォーマンスを発揮してもらうコツは、 生活リズムを適切にデザインすることです。
本セミナーでは、 体内時計の仕組みに関する最新の研究結果をもとに、 生産性の高まる時間・下がる時間やその個人差、 生活リズムをデザインする具体的な方法についてお伝えします。
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
東京医科大学精神医学分野の研究チームは、STRESCOPE®*で得られたデータを分析し、睡眠の問題は職業性ストレスで生じる心身のストレス反応を増悪させること、さらには直接あるいはこのストレス反応を介して、職域の生産性を損なうことを明らかにしました。
睡眠のケアが従業員のメンタルヘルスのケアに直結するのみならず、組織の生産性を高めることができる有用なツールであることを示唆する結果が示されています。
本研究成果は精神医学に関する国際誌である「Neuropsychiatric Disease and Treatment」に掲載されました。
*STRESCOPE®はこどもみらいの提供するストレスチェックサービスです。職業性ストレッサーの測定に加え、従業員がセルフケア可能な、「ストレスに関連する生活習慣/睡眠習慣」も調査し、その結果を本人や組織にフィードバックすることで、メンタルヘルスの改善につなげることができるサービスです。この研究には、STRESCOPEを利用された方のうち、学術目的での匿名化データ利用に同意された方のデータが分析されました。
こどもみらい・東京医科大学・慶應義塾大学からなる研究チームは、「睡眠の問題の存在が生産性を統計的には少なくとも約3%押し下げる」こと、そして2人に1人は睡眠に問題を抱えるとする日本の現状からすると、これは日本全体において最低でも7.5兆円の経済損失をもたらしていることを明らかにし、この研究成果がアメリカ国立睡眠財団の”Sleep Health”にて発表されました。
他にも「寝不足」による生産性低下は若年者ほど深刻であり、本来約8時間の睡眠時間が平均的には必要とされる20代前後の労働者では、平日の睡眠時間がそれを下回るごとに生産性の低下(プレゼンティーイズム)が生まれること、さらには全年齢的に「休日の寝溜め」はむしろ生産性を損なってしまうことなどが明らかになりました。
本成果は「どのような睡眠が社会の活力につながるのか」を示唆すると共に、日本において初めて詳細に睡眠と生産性との関連を検討した研究です。
この研究成果はSleep Healthの2020年6月号に掲載されています。
こどもみらい研究チーム・東京医科大学睡眠健康研究ユニット等からなる、睡眠に関連する生活習慣と、それから引き起こされる睡眠の問題との関係を明らかにした論文が、アメリカ国立睡眠財団の”Sleep Health”にて発表されました。
睡眠衛生と呼ばれる、睡眠と関連する生活習慣は様々なものが提唱されていますが、実は、「その中でも何が本当に重要なものであり、何を本当に伝え、指導すべきなのか」を明らかにした研究はほとんど存在しませんでした。
本研究は様々な睡眠関連要因を包括的に調査し、多変量解析によって各要因の重要性の濃淡を明らかにした、睡眠指導を行う際のマスターピースとなる成果です。
株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区)は、人事・労務・総務向けの無料ウェビナー「リモートワーク時代のメンタルヘルス対策」を開催します。
リモートワークの急速な導入によって労働環境や労働時間、働き方が多様化し、メンタルヘルス不調の増加が懸念されています。
最新の研究では、睡眠や食事、生活リズムといった日常の習慣が、仕事以上に強くメンタルヘルスに影響していることが分かっており、リモートワークにおいてはその度合いが一層増加すると予想されます。
このような状況下で適切なメンタルヘルス対策を行うためには、社員1人ひとりが実施できるリモート時代特有のセルフケア(生活と時間のマネジメント)が大変重要です。
本セミナーでは、具体的にどのような習慣がメンタルヘルスに影響するのかをメカニズムとともに分かりやすく解説し、メンタルヘルスの強化に繋がる、根拠ある人事施策について考えていきます。
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
株式会社こどもみらいでは、睡眠や健康に関する講演を企業・学校向けに行っています。
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社にて、2019年12月に4回に分けて行われた「睡眠力向上セミナー」のアンケート結果をご紹介します。
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社従業員有志を対象に、以下の4講演を行いました。
アンケート回答数 103件
講演をご希望の方、詳細のお問い合わせはこちらからご連絡下さい。
こどもみらいでは今後も科学的根拠に基づいた睡眠および健康に関する情報の発信に努めて参ります。
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
2019年11月29日から3日間、代々木オリンピックセンターで開催された「第66回日本学校保健学会」において、日本ではあまり類例を見ない高校生を対象とする睡眠の実態調査および睡眠改善プログラム「eSLEEP」の効果についての発表が行われました。
今回発表された研究は、2017年から2018年にかけて、7つの高校・3305名の生徒を対象とした睡眠に関する実態調査と、この中から平均して週に1回以上の欠席を行い、かつ学術的利用や発表に同意した224名を対象とした睡眠指導プログラム「eSLEEP achademic」の効果を検証したものです。
今回の調査によって、高校生のおよそ半数が睡眠に関する問題を抱えていること、また、睡眠の問題は、通学意欲の低下や欠席率の悪化と関係することが示されました。
また、睡眠の問題がある生徒に対し睡眠指導プログラム「eSLEEP achademic」を適用した効果について、プログラムを受けたグループと受けなかったグループを比較すると、プログラムを受けたグループでは睡眠の質(PSQI*)、生産性指数(SPS*)、退学率の有意な改善が見られ、そして欠席率はプログラム実施前の21.82%から9.85%へと大幅な改善が見られました。
中高生の睡眠の問題は不登校や退学の一因と考えられていますが、今回の研究は、適切な睡眠指導は実際に欠席率を改善することや、不登校や退学に効果がある可能性を示しています。
この研究結果は、株式会社こどもみらいが提供する「eSLEEP」および「eSLEEP achademic」のサービス・製品開発に活かされています。
株式会社こどもみらいでは今後も、「科学的根拠のある健康経営」を支援するための活動を進め、ストレスチェック「STRESCOPE」や睡眠改善プログラム「eSLEEP」などのサービス改善に努めて参ります。
第66回日本学校保健学会
発表日:2019年11月30日(土)
発表者:志村哲祥
演題名:
O30p-G-02 多施設共同研究:高等学校における睡眠の実態の調査
O30p-G-03 多施設共同研究:高等学校における睡眠と欠席・通学意欲との関連の分析
O30p-G-04 構造化された睡眠衛生指導は学生の退学を予防する:多施設ランダム化比較試験
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
2019年9月20日から6日間にわたりカナダのバンクーバーコンベンションセンターで開催され、70ヶ国以上の参加者から睡眠に関する最新の知見が集まる「世界睡眠学会2019(World Sleep 2019)」において、睡眠改善プログラム「eSLEEP」の効果についての発表が行われました。
今回発表された研究は、eSLEEP academicの内容を、東京医科大学睡眠健康研究ユニットが学術研究として主導し、効果検証を行ったものです。2017年から2018年にかけて、7つの高校・3305名の生徒のうち、平均して週に1回以上の欠席を行い、かつ学術的利用や発表に同意した224名を対象とし、中高生に適切な睡眠指導を行うプログラム「eSLEEP achademic」の効果が検証されました。
プログラムを受けたグループと受けなかったグループを比較すると、プログラムを受けたグループでは睡眠の質(PSQI*)、生産性指数(SPS*)、退学率の有意な改善が見られ、そして欠席率はプログラム実施前の21.82%から9.85%へと大幅な改善が見られました。また、日中の眠気についても改善傾向が見られました。
中高生の睡眠の問題は不登校や退学の一因と考えられていますが、今回の研究は、適切な睡眠指導は実際に欠席率を改善することや、不登校や退学に効果がある可能性を示しています。
この研究は、株式会社こどもみらいが提供する「eSLEEP」および「eSLEEP achademic」のサービス・製品開発に活用されます。
株式会社こどもみらいでは今後も、「科学的根拠のある健康経営」を支援するための活動を進め、ストレスチェック「STRESCOPE」や睡眠改善プログラム「eSLEEP」などのサービス改善に努めて参ります。
World Sleep 2019
発表日:2019年9月23日(月)
発表場所:バンクーバーコンベンションセンター
発表者:Akiyoshi Shimura
演題名:A randomized controlled trial: Tailored sleep hygiene intervention reduced high school students’ sleep disturbance, absenteeism, presenteeism, and dropout.
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
エビデンスに基づく健康経営とヘルスケアデータマイニング、そして睡眠改善プログラムを提供する株式会社こどもみらいは、個人の体内時計と行動・渡航パターンに応じた時差ボケ対策プログラムである「eSLEEP® jet lag」APIのαバージョンの提供を開始します。また、本APIのアルゴリズムが実際に早期の現地適応を促すことが、生体指標を用いて検証されました。
・時差ボケと対策の重要性について
ヒトには24~25時間の周期で動く体内時計があり、概日リズム(サーカディアン・リズム)と呼ばれます。睡眠や覚醒をはじめとして、体温、血圧、身体的パフォーマンス、胃腸の動き、認知機能なども一日の中で大きく変動し、約24時間の周期性を持っています。
時差のある地域へ移動したとき、体が覚醒・食事・運動・睡眠をしたがっている時間と、現地で実際に活動・休息したい時間とが乖離すると「時差ボケ」となります。また、現地に短期だけ滞在してすぐに帰国するという場合も、体内リズムがずれ始めた状態で帰国することになり、やはり不調を招きます。これらが顕著に心身に悪影響を与える場合には、「概日リズム睡眠・覚醒障害」の「時差障害」と診断される場合もあります。
時差ボケはせっかくの旅行や出張で存分に楽しめない、力を発揮できないのみならず、心身の不調を起こしてしまう重大な問題であり、対策が必要です。
・時差ボケ対策アルゴリズムとそのAPIについて
体内時計のうち、とくに「中枢時計」と呼ばれる全身の細胞・組織のリズムに影響を与える時計は、ヒトの場合は光によって調整されます。また、胃腸などの「末梢時計」は食事の影響も受け、全身的な体調にやはり影響を与えます。
朝方の光は体内時計を前進させ、夜の光は体内時計を後退させることは以前から知られていましたが、我々の研究チームは、おおよそどの程度の時間に光を浴びると体内時計が前に動くのか、あるいは後ろに動くのかが、個人によって異なることを明らかにしました。たとえば、同じ午前4時に浴びる光であっても、朝型の人にとっては体内時計を早める一方で、一定以上の夜型の人にとっては、体内時計を遅らせてしまいます。(下図1)
このため、本アルゴリズムおよびAPIは、その人の体内時計の個人差を把握しつつ、体内時計を早めることで現地に適応すべきか、遅らせることで適応すべきか、あるいは体内時計を動かさないほうがよいのかを判定した上で、最適なタイミングで光を利用すべきタイミングを提示し、その具体的な時刻を提示します。また、睡眠と覚醒、日中の体調に影響するその他の要因(食事タイミングやカフェインの摂取)についても助言を提供します。
図1)クロノタイプと光暴露と体内時計の変化
・本アルゴリズム利用の有用性
下記のグラフは、本アルゴリズムを渡航前日から利用した利用者の、体内時計の代表的な指標である「深部体温」の推移を表しています。通常、大幅な時差を伴う地域への渡航には、適応するためには1週間以上の時間を要するとされていますが、この利用者は日本と8時間の時差がある地域において、現地に到着した翌日には現地での望ましい活動時刻に適応できたことを示します。利用者本人からも、利用しなかった際の以前の出張に比べ、「著明に体が楽だった」という主観的な改善効果が寄せられています。
図2)深部体温変化
・今後の「eSLEEP® jet lag」の取り組み
渡航先でのアクティビティを充実させ、さらには生産性を高めることが可能な本技術は、時差のある地域への渡航が多い丸紅従業員組合所属の組合員の皆様へ、現在トライアル提供をさせて頂いております。また、「体内時計という、自分だけの時間に回帰する」「睡眠で従業員の健康と生産性を、分析・向上させる」サービスを運営されている株式会社O:様のO:SLEEPの一部パッケージにもご利用いただいています。
本技術は今後、渡航者のみならず、過酷な勤務環境に置かれているシフトワーカーへも体調の改善効果を発揮できることが期待でき、さらなる研究開発を行ってまいります。
<株式会社こどもみらいについて>
株式会社こどもみらいは、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームです。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠改善プログラム「eSLEEP」、生活習慣や睡眠も含めたストレスマネジメントの要となるストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
https://cfltd.co.jp
<株式会社O:について>
「体内時計という、自分だけの時間に回帰しよう」をコンセプトに2016年12月に設立。一日24時間という決められたサイクルではなく、個々人固有の体内時計を軸にした、新しい生き方、働き方の社会実装を目指しています。今後は睡眠分野に限らず体内時計が関連する幅広い分野への積極的な事業展開を目指します。
http://o-inc.jp/
<eSLEEPについて>
eSLEEPは、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師・統計学者(データサイエンティスト)を中心として提供・開発している睡眠改善プログラムです。eSLEEP academicとeSLEEP businessでは、組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、心身の疾患の予防と生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果を、2018年には職域における利益向上効果を定量的に明らかにしました。
https://esleep.jp/