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サンケイリビング新聞社「不眠タイプ診断」作成のおしらせ

リビングくらしナビ(サンケイリビング新聞社)のライフスタイルコンテンツとして、「不眠タイプ診断」を作成し、お届けしています。

睡眠にお悩みの方がいらっしゃれば、どうぞお試しください。

https://mrs.living.jp/sp/shindan/1811_fumin/

[コラム・研究レビュー] 眠りといのち

睡眠の問題は、前述のコラムのように、身体的・精神的問題を引き起こし、疾患リスクを高め、死亡率の増加と寿命・健康寿命の短縮を招きます。

睡眠の「量」と生命

平均的には7~8時間睡眠が最も死亡率が低い、ということはよく知られていますが、特に中年以降にメタボリック症候群と短時間睡眠が合併すると、死亡率が倍以上に跳ね上がり、20年後には40%が死亡することが知られています。

Journal of the American Heart Association, 2017, 6.5: e005479.

睡眠の「質」と生命

男性において、短時間睡眠(6時間未満)に不眠症状が合併すると死亡率は4.3倍になります。高血圧や糖尿病例でこの傾向は顕著になり、死亡率は7.2倍になることが知られています。

Sleep, 2010, 33.9: 1159-1164.

睡眠の「リズム」と生命

夜型の者が朝型勤務を続けるなど、リズムに対処することなく、継続的に自らの体内時計に適合しない生活を慢性的に続けると、様々な疾患リスクが高まり、死亡率が10%上がります。

Chronobiology international, 2018.

[コラム・研究レビュー] 眠りとからだ・こころ

眠りとからだ

日常の活動で生じた体の組織や遺伝子の損傷は、睡眠中に修復されます。また、睡眠中に、組織の各種成長因子などの物質(ホルモン)が分泌されます。睡眠の問題は体の修復機構を機能不全に陥らせてしまうため、かなり多岐に渡る疾患のリスクとなります。

睡眠の「量」「質」「リズム」と生活習慣病(メタボリックシンドローム)

短時間睡眠は様々な基礎疾患に関わります。7~8時間睡眠の者に比較すると高血圧リスクは66%、肥満リスクは55%増加し、脳梗塞リスクが15%、心筋梗塞リスクが48%増加します。人は睡眠中に血圧を低下させ血管を修復し、また、代謝を促すホルモンを分泌します。

中途覚醒(睡眠維持障害)が存在すると、糖尿病リスクが84%増加します。

そして体内時計のリズムと異なった時間での活動を余儀なくされる場合、たとえば休日と平日の睡眠時間帯が1時間乖離するごとに肥満リスクは3.3倍に、あるいはシフトワークを伴う業務に就くと、肥満リスクは1.8倍になります。

Sleep 31.5 (2008): 619–626, Sleep 29.8 (2006): 1009–1014, European Heart Journal 32.12 (2011): 1484–1492, Diabetes Care 33.2 (2010): 414-420, Current Biology 22.10 (2012): 939-943, International Journal of Epidemiology 38.3 (2009): 848–854

 

睡眠の「量」「リズム」と癌

短時間睡眠は、体が遺伝子のエラーを修復する時間を奪います。6時間未満睡眠は女性の乳がんリスクを62%増加させ、男性の前立腺がんリスクを34%増加させます。

また、交替勤務への就労はがんのリスクを高め、たとえば乳がんリスクを1.3倍にします。特に、朝型な者を夜型勤務に頻繁に配置すると、リスクが3.9倍になります。

British Journal of Cancer 99 (2008) 1502–1505, British Journal of Cancer 99 (2008) 176–178, American journal of epidemiology 173.11 (2011): 1272-1279, Occup Environ Med 69.8 (2012): 551-556.

 

眠りとこころ

日中の活動やストレス等によって損傷を受けた神経は、睡眠中に修復され、また、シナプスの形成・固定も主に睡眠中に行われます。また、睡眠は情動の整理の役割も持っています。睡眠の問題は脳のメンテナンスの時間を奪ってしまうことで、うつ病などの精神疾患のリスクを増加させ、究極的には自殺リスクを高めます。うつは不眠を伴いますが、うまく眠れないこと、眠らないこと、それ自体もうつを引き起こします。

不眠症状とうつ・不安

「うつ」がなかった人でも、不眠症状が存在していると、その後うつ病になる危険性が2.1倍以上になり、不安症状を生じる危険性は4.3倍となります。

特に若年成人では、2週間以上の不眠が続くと、その後にうつ症状を発症するリスクが1.9倍になります。

Journal of affective disorders 135.1-3 (2011): 10-19, BMC psychiatry 16.1 (2016): 375, psychosomatic research 64.4 (2008): 443-449, Sleep 31.4 (2008): 473-480.

短時間睡眠と自殺

6時間未満の睡眠を継続的に続けている者は、直近1年間での自殺企図の確率が5.1倍でした。そして短時間睡眠はうつ症状とは独立して、自殺企図リスクを上昇させます。

Sleep 31.8 (2008): 1097-1101.

講演情報:こどものこころ・からだ・ねむり

12月7日、埼玉県北足立北部養護教員会にて養護教諭約100名を対象に、eSLEEP統括医の志村哲祥医師による睡眠の講演「こどものこころ・からだ・ねむり」 が行われました。

◆寄せられた感想(抜粋)◆
・大変興味深かったです。不登校傾向の生徒が多く、やはり睡眠(生活リズム)が影響している実態があります。
・日本の子どもの睡眠は危機的状況にあること、放置すると心身症や自殺につながる恐れがあること等、科学的にわかりやすく教えていただき、大変勉強になりました。
・カフェインの含有量について、大変勉強になりました。光のリズムについて、思い当たる生徒がいます。職員に情報提供します。
・日々、睡眠不足から体調不良を訴え来室する児童がいるので、今後の指導に生かしていきたいです。
・うつと睡眠についての関係が具体的にわかり、学校で睡眠の大切さに取り組んでいきたいと思いました。

講演情報:『正しい睡眠』を学んで成績アップ! 睡眠学入門

11月30日、SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)の千葉県立柏高校にて、eSLEEP統括医の志村哲祥医師による講演「『正しい睡眠』を学んで成績アップ!睡眠学入門」が行われました。

◆参加した生徒の皆様から寄せられた感想(抜粋)◆
・ゴールデンタイムを信じてテスト勉強も早く切り上げていたので、今後は気にしなくていいからよかった。
・今までのことが間違っていたということを知れた。自分は基本7時間以上寝ようとしていたが、8時間以上寝る目標に変える。
・世界の高校生の平均睡眠時間に比べ日本は少なかったので、もっと時間を確保したいと思った。
・自分があまり眠れなかった理由や、どのようにすれば眠り安いかがよくわかった。
・睡眠のせいで成績が下がる可能性があると思わなかった。今日から改善したい。
・自分の睡眠があまりにもひどく実年齢と比較し、高齢の人と同じ体になっているので、もっと若返ろうと思った。

◆この講義を聞くことを他の人にも薦めますか?◆(約1000人が対象)

・とても薦める 67.1%   ・薦める 31.7%

 

(満足度98.9%)

プレスリリース:「睡眠リズムと不登校」講演会のお知らせ

「睡眠リズムと不登校」の連続講演会を下記要領にて実施いたします。

■概要 「朝まで眠れない」「どんなに頑張っても午前中に起きられない」「全盲で昼夜が分からず睡眠が乱れる」「毎⽇少しずつ睡眠時間帯がずれ、社会に適応できない」という疾患である睡眠リズム障害。

思春期⼈⼝の3〜7%は睡眠リズム障害に罹患しています。発症してしまうと、重度の場合は全く登校ができなくなり、深刻な体調不良・覚醒困難による不適応や不登校をきたします。実際に、⾼校を中退した⽣徒の43.2%は「リズムと学校が合わなかった」(H25 東京都調べ)と回答するなど、⼦どもの健康と未来を守る上で、⼤きな問題となっています。

今回、KTC 中央⾼等学院と連携し、地域の養護教員や保護者向けに この問題を学ぶための連続講演会を開催いたします。

■講演内容と問い合わせ先 ※講演会の参加には事前のご連絡が必要です

タイトル 「睡眠リズムと不登校に関する勉強会」
講義内容 睡眠の基礎知識とメカニズム、誤った都市伝説、リズム、睡眠と学校⽣活、対処法 (講義90分・質疑応答30分)
講師 志村哲祥 (しむらあきよし) 医師・医学博⼠・精神保健指定医・認定産業医
参加費 無料 参加者 教育機関担当者・保護者とそのお⼦様

保健室・養護教諭向け雑誌「健」に特集が掲載されました

全国の保健室・養護教諭向け雑誌「健」7月号と8月号に特集として、
当社R&D嘱託医の志村哲祥医師の記事「その子の「困った」に睡眠の問題は隠れていませんか?」が掲載されました。

バックナンバー 『健』2017年7月号
バックナンバー 『健』2017年8月号

学校現場における睡眠の問題に焦点を当てて、睡眠のメカニズムから対処法までを示した特集です。

◆読者の感想(抜粋)◆
「データが豊富で科学的でとてもわかりやすく、勉強になりました。生徒に伝えたい内容もたくさんあり、面談の仕方も参考になります。」

日本老年医学会雑誌に掲載されました

日本老年医学会雑誌に、こどもみらいR&D統括の志村哲祥医師の記事
高齢者不眠の病態と対応が掲載されました。
この記事は自由に読むことが可能です。

※誌面より、「日本人の不眠の有病率」のグラフを抜粋いたしました。