2019年9月20日から6日間にわたりカナダのバンクーバーコンベンションセンターで開催され、70ヶ国以上の参加者から睡眠に関する最新の知見が集まる「世界睡眠学会2019(World Sleep 2019)」において、睡眠改善プログラム「eSLEEP」の効果についての発表が行われました。
今回発表された研究は、eSLEEP academicの内容を、東京医科大学睡眠健康研究ユニットが学術研究として主導し、効果検証を行ったものです。2017年から2018年にかけて、7つの高校・3305名の生徒のうち、平均して週に1回以上の欠席を行い、かつ学術的利用や発表に同意した224名を対象とし、中高生に適切な睡眠指導を行うプログラム「eSLEEP achademic」の効果が検証されました。
プログラムを受けたグループと受けなかったグループを比較すると、プログラムを受けたグループでは睡眠の質(PSQI*)、生産性指数(SPS*)、退学率の有意な改善が見られ、そして欠席率はプログラム実施前の21.82%から9.85%へと大幅な改善が見られました。また、日中の眠気についても改善傾向が見られました。
中高生の睡眠の問題は不登校や退学の一因と考えられていますが、今回の研究は、適切な睡眠指導は実際に欠席率を改善することや、不登校や退学に効果がある可能性を示しています。
この研究は、株式会社こどもみらいが提供する「eSLEEP」および「eSLEEP achademic」のサービス・製品開発に活用されます。
株式会社こどもみらいでは今後も、「科学的根拠のある健康経営」を支援するための活動を進め、ストレスチェック「STRESCOPE」や睡眠改善プログラム「eSLEEP」などのサービス改善に努めて参ります。
World Sleep 2019
発表日:2019年9月23日(月)
発表場所:バンクーバーコンベンションセンター
発表者:Akiyoshi Shimura
演題名:A randomized controlled trial: Tailored sleep hygiene intervention reduced high school students’ sleep disturbance, absenteeism, presenteeism, and dropout.
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
カリフォルニア州は、中高生の睡眠不足解消による教育向上効果を目的として、法律に基づき中学高校の始業開始時間を遅らせることを決定しました。
“カリフォルニア州が、中学高校の始業開始時間を遅らせる法律を施行する最初の州に”/ロサンゼルスタイムズ
一部の学校関係者の反対によりこれまでも2回廃案になってきた法案ですが、今回州知事は「科学的知見は、始業時刻を遅らせることが10代の学生の学業成績、出席率、および総合的健康状態のいずれも向上改善させることを示している」と声明で述べ、法案の施行まで3年間の移行期間を設け、段階的に実施することが決定しました。
米国疾病対策予防センターによると、カリフォルニア州の中学高校の平均始業時間は午前8時7分。
日本と比べて早いと思いますか?遅いと思いますか?
日本では、部活の朝練や朝テストなどの目的で、7時や7時半といった、始業時刻よりも早い時間での登校を促している学校が多いように思います。
人は、それぞれに、「何時に眠って何時に起きると、(勉強もスポーツも)最大のパフォーマンスを発揮できる」という時間スイッチを持っています。
その眠りのスイッチと起床のスイッチのベストタイムは、一人ひとりそれぞれに異なっています。そうした個人差があるうえ、さらに同じ個人の中でも年齢によってベストタイムは移り変わる、という特徴があります。
例えば50歳のAさんは、24時に眠って、7時に起きると絶好調だと感じています。
年齢による変動を考慮すると、おそらくAさんが20歳のときのベストタイムは2時頃に眠って10時頃に起きる、というものだったと推測できます。誰しも、若いときのほうが夜ふかしであるという生物学的特徴を我々は持っています。
みなさんも、次のような経験はありませんか?
若い頃は夜中何時まででも起きていられたのに、年を重ねたら夜ふかしできなくなってきた。
若い頃は朝起きるのが辛くて、よく遅刻して怒られたけれど、年を重ねたら朝起きられるようになった。
人間は15歳前後から20歳にかけて、急速に夜型に傾きます。特に男性は女性と比べるとより強く夜型になる傾向があります。
この結果、15歳から20歳にかけての学生が最もパフォーマンスを発揮できる時間帯と、社会生活時間(学校生活を送る時間帯)に大きなズレが生じ、本来眠っていたほうが良い時間に起きて登校することを強要され、これから調子が出てくる時間には下校をする、という状態に陥ってしまいます。
日本の学校が開いている時間は、朝型の若者と、中年以降の年齢の人にとってはとても快適な時間帯です。しかしながら、多くの中高生・大学生にとって、今の学校が開いている時間はベストパフォーマンスを発揮できない時間となっています。特に体質的に夜型の若者にとって生活リズムを社会生活時間に合わせることは容易ではなく、中学生・高校生頃から急に朝が起きられなくなり、学校へ通うことができず、結果として退学を余儀なくされるという事例が少なくない数で発生しています。
このことは、若者の能力を育み成長を促すはずの教育システムが、むしろ本来の能力を発揮する機会を損ない、成長の芽を摘みかねない環境を与えている、ということを意味します。
米国小児科学会は2014年にすでに「中学校と高校は始業開始を8時以降にすべきだ」という提言をしていました。小児科医グループは、「思春期の睡眠不足が公衆衛生の問題であると認識し、始業開始時刻を遅らせることの科学的根拠を支持し、身体的および精神的健康、安全性および学業成績に関して生徒に利益以外の何者でもない」と述べています。
今回のカリフォルニア州の法律は、子供たちの健康と福祉を、社会の枠組みによって守るために作られましたと感じます。
今、日本の子どもたちはアメリカ以上に公衆衛生危機に直面しています。世界で一番子どもが眠らない国は日本です。そして先進国の中で唯一日本だけが、10代の子どもたちの自殺率が上昇しています。
始業時間を遅くすることで、子どもたちの健康状態は向上し、学業成績が向上し、スポーツのパフォーマンスが上がり、尊い命が救われます。
この議案が州議会で可決される前に、ある議員さんが次のように述べたそうです。
「この国のティーンエイジャーは睡眠不足です。これは公衆衛生の伝染病であり、この伝染病の主な原因は、思春期の子供の生物学的睡眠のニーズに合わない始業開始時刻です。」
反対派は、この始業開始時刻変更がバス路線に影響を及ぼすとか、両親が仕事に行く前に子どもを学校へ送ることができないとか、課外活動が夜遅くまでずれ込むことになると危惧しました。日本の睡眠学会でも、この話題が取り上げられた時に、「始業時間が遅くできたとしても、どうせまた、朝テストや朝学習を始める・・・始業時刻を遅らせることを提言するなら、その対策も考えた上で社会的に提言してほしい」なる意見が出されました。
それは、果たして本質的な問題なのでしょうか?『学業成績、出席率、および総合的健康状態のいずれも向上改善させる』結果を帳消しにするほどの重大な問題だとは、到底思えません。
もちろん、いま実際に動いている仕組みを変えるためには大変な労力が必要です。一朝一夕に出来ることではないでしょう。しかし、若者のパフォーマンス発揮や成長の機会を潰してしまう社会の仕組みを、このまま放置しておいて良いのでしょうか?科学的根拠のない社会規制は、むしろ今後の日本にとって非常に大きなリスクとなりうる、と私たちは考えます。
睡眠専門医・産業保健師・看護師などのプロフェッショナルチームによるセミナー・講演等も受け付けております。
エビデンスに基づく健康経営とヘルスケアデータマイニング、そして睡眠改善プログラムを提供する株式会社こどもみらいは、個人の体内時計と行動・渡航パターンに応じた時差ボケ対策プログラムである「eSLEEP® jet lag」APIのαバージョンの提供を開始します。また、本APIのアルゴリズムが実際に早期の現地適応を促すことが、生体指標を用いて検証されました。
・時差ボケと対策の重要性について
ヒトには24~25時間の周期で動く体内時計があり、概日リズム(サーカディアン・リズム)と呼ばれます。睡眠や覚醒をはじめとして、体温、血圧、身体的パフォーマンス、胃腸の動き、認知機能なども一日の中で大きく変動し、約24時間の周期性を持っています。
時差のある地域へ移動したとき、体が覚醒・食事・運動・睡眠をしたがっている時間と、現地で実際に活動・休息したい時間とが乖離すると「時差ボケ」となります。また、現地に短期だけ滞在してすぐに帰国するという場合も、体内リズムがずれ始めた状態で帰国することになり、やはり不調を招きます。これらが顕著に心身に悪影響を与える場合には、「概日リズム睡眠・覚醒障害」の「時差障害」と診断される場合もあります。
時差ボケはせっかくの旅行や出張で存分に楽しめない、力を発揮できないのみならず、心身の不調を起こしてしまう重大な問題であり、対策が必要です。
・時差ボケ対策アルゴリズムとそのAPIについて
体内時計のうち、とくに「中枢時計」と呼ばれる全身の細胞・組織のリズムに影響を与える時計は、ヒトの場合は光によって調整されます。また、胃腸などの「末梢時計」は食事の影響も受け、全身的な体調にやはり影響を与えます。
朝方の光は体内時計を前進させ、夜の光は体内時計を後退させることは以前から知られていましたが、我々の研究チームは、おおよそどの程度の時間に光を浴びると体内時計が前に動くのか、あるいは後ろに動くのかが、個人によって異なることを明らかにしました。たとえば、同じ午前4時に浴びる光であっても、朝型の人にとっては体内時計を早める一方で、一定以上の夜型の人にとっては、体内時計を遅らせてしまいます。(下図1)
このため、本アルゴリズムおよびAPIは、その人の体内時計の個人差を把握しつつ、体内時計を早めることで現地に適応すべきか、遅らせることで適応すべきか、あるいは体内時計を動かさないほうがよいのかを判定した上で、最適なタイミングで光を利用すべきタイミングを提示し、その具体的な時刻を提示します。また、睡眠と覚醒、日中の体調に影響するその他の要因(食事タイミングやカフェインの摂取)についても助言を提供します。
図1)クロノタイプと光暴露と体内時計の変化
・本アルゴリズム利用の有用性
下記のグラフは、本アルゴリズムを渡航前日から利用した利用者の、体内時計の代表的な指標である「深部体温」の推移を表しています。通常、大幅な時差を伴う地域への渡航には、適応するためには1週間以上の時間を要するとされていますが、この利用者は日本と8時間の時差がある地域において、現地に到着した翌日には現地での望ましい活動時刻に適応できたことを示します。利用者本人からも、利用しなかった際の以前の出張に比べ、「著明に体が楽だった」という主観的な改善効果が寄せられています。
図2)深部体温変化
・今後の「eSLEEP® jet lag」の取り組み
渡航先でのアクティビティを充実させ、さらには生産性を高めることが可能な本技術は、時差のある地域への渡航が多い丸紅従業員組合所属の組合員の皆様へ、現在トライアル提供をさせて頂いております。また、「体内時計という、自分だけの時間に回帰する」「睡眠で従業員の健康と生産性を、分析・向上させる」サービスを運営されている株式会社O:様のO:SLEEPの一部パッケージにもご利用いただいています。
本技術は今後、渡航者のみならず、過酷な勤務環境に置かれているシフトワーカーへも体調の改善効果を発揮できることが期待でき、さらなる研究開発を行ってまいります。
<株式会社こどもみらいについて>
株式会社こどもみらいは、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームです。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠改善プログラム「eSLEEP」、生活習慣や睡眠も含めたストレスマネジメントの要となるストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
https://cfltd.co.jp
<株式会社O:について>
「体内時計という、自分だけの時間に回帰しよう」をコンセプトに2016年12月に設立。一日24時間という決められたサイクルではなく、個々人固有の体内時計を軸にした、新しい生き方、働き方の社会実装を目指しています。今後は睡眠分野に限らず体内時計が関連する幅広い分野への積極的な事業展開を目指します。
http://o-inc.jp/
<eSLEEPについて>
eSLEEPは、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師・統計学者(データサイエンティスト)を中心として提供・開発している睡眠改善プログラムです。eSLEEP academicとeSLEEP businessでは、組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、心身の疾患の予防と生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果を、2018年には職域における利益向上効果を定量的に明らかにしました。
https://esleep.jp/
株式会社こどもみらいでは、睡眠や健康に関する講演を企業・学校向けに行っています。
最近の講演のご感想を紹介します。
田中倫子先生に教職員修養会・研修会でご講演いただきました。教職員に大変良い機会を与えてくださり、また田中先生のお人柄から説得力のある講演に感銘を受け今後の生徒指導、また教職員自身の健康に留意することのポイントを睡眠から示唆していただきました。
例年になく関心が高く生徒への生活、健康指導への手がかりを与えられられたと声が聞こえました。
適切で歯切れ良く聞きやすく、実践とご自身の体験を交えおそらく保護者への影響も多く与えられる方であろうと想います。
まこと本学園の時宜に適った講師をご紹介いただきましたこと心より感謝申しあげます。
講演をご希望の方、詳細のお問い合わせはこちらからご連絡下さい。
https://cfltd.co.jp/contact
こどもみらいでは今後も科学的根拠に基づいた睡眠および健康に関する情報の発信に努めて参ります。
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
先日、都内の甲子園出場などで有名なスポーツ強豪校での講演に行ってきました。
高校1~2年生の皆さんに聞いて頂きましたが、最後に睡眠の量について生徒さんから質問が出ました。まだ、制服の裾が自分の手足よりも長く、入学したばかりの1年生だろうなぁと思われる男子生徒
「僕は、中学の時の保健体育の教科書に、中学生に必要な睡眠時間は6~8時間と書いてあったのを信じていました。あれは嘘ですか?」
教科書に嘘?て、ありえない?!
そう思って当然ですよね。
講演では、必要な睡眠時間について、アメリカ国立睡眠財団が発表している時間数を伝えました。
14~17歳 の理想の睡眠時間は 8~10時間。講演に参加された16~17歳に絞ると8~8.5時間。
加えて、全員が8.5時間必要ではなく個人差があること、個人差の分布、睡眠不足の判断方法、20歳以降は毎年数分ずつ必要な睡眠時間が短くなっていくのが一般的であること。
これら睡眠の基本知識を一緒に学びました。
生徒さんたちに、その場で挙手にて平日どのくらい眠っているかを聞いたところ、5~6時間しか眠っていない高校生がなんと多いことか・・・
先進国の中でこんなに眠っていないのは日本の高校生だけであるということを今日も身を持って体感してしまいました。
これは、10代の自殺の問題にも関連している大変由々しき問題です。
男子生徒の質問に
「(最新の知見からすると)間違っています」と即答すると、高校生たちは皆、苦笑。
今の日本の受験制度や学校組織の仕組みに、高校生が充分な睡眠を取ることができる構造は残念ながら見当たりません。
日本社会として取り組むべき課題であると認識しています。
それはそうと、保健体育の教科書を真面目に読んでいる子もいるんだなぁと、ほっこりした気持ちになりました。
睡眠専門医・産業保健師・看護師などのプロフェッショナルチームによるセミナー・講演に関する詳細をご希望の方はこちらからお問合せ下さい。
「お酒を飲むとよく眠れるなぁ」と感じている方はいませんか?実は、それ誤りです。
お風呂上りのビール、美味しいですよね!残業続きで深夜に気晴らしでお酒を飲む、そんな日もあります。一方で、寝つきがよくないから寝る前にお酒を飲むのが習慣化している、という人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
お酒はストレス解消になるし、お酒を飲むとよく眠れると思っているあなた、これは大きな誤解です。寝る前のお酒は確実にあなたの睡眠の質を低下させています。今回は、睡眠とアルコールの関係性について説明していきたいと思います。
欧米では寝る前のお酒はナイトキャップと呼ばれます。日本においても寝る前にお酒を飲む人も少なくはないでしょう。特に、日本においては、不眠で悩んだときにお酒を飲む人の割合が国際的にみて高いようです。日本、ドイツ、ベルギー、中国、ブラジル等10か国4万人を対象とした国際疫学調査(2002年)によると、不眠で悩んだときの対策として「アルコール飲用」と答えた人の割合が30%と、10カ国中で断トツのトップでした。日本は「寝酒大国」と言っても過言ではないでしょう。一方で、「医師を受診する」と答えた人の割合は10%未満であり、10カ国中最下位でした。日本人には、「お酒を飲めば眠れる」「眠るためには『医師」よりも『お酒』」と思ってしまっている人が多いようです。
たしかに、お酒を飲むと、一時的に入眠潜時(覚醒状態から眠りに入るまでの所要時間)が短くなります。
しかし、お酒を飲んで眠ると、睡眠の質が悪化するということが明らかになっています。
London Sleep CentreのEbrahim博士らが行った研究によると、アルコールを摂取すると、寝付きは良くなるものの、中途覚醒や早朝に目が覚める早朝覚醒が増加し、特に睡眠の後半に睡眠障害が発生しやすいことが示されています(Irshaad O. Ebrahim,et al. Alcohol and Sleep,Alcoholism 2013;Volume37.4:539-549)。
この原因としては、アルコールが分解されて生じるアセトアルデヒドに強い睡眠阻害作用・興奮作用があること、利尿作用による中途覚醒が起きやすくなること、連日のアルコール摂取に熟睡を阻害する作用があること等が考えられています。また、アルコールの摂取によって血液が固まりやすくなるため、寝酒を繰り返すと睡眠中の脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まり、場合によっては突然死を招くこともあります。
さらに、アルコールの筋弛緩作用により、のどや舌の筋肉が弛緩し気道が狭くなりいびきをかきやすくなります。ひどい場合は、気道が完全に狭窄され無呼吸を引き起こします(これは閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれています)。実際、Paul E. Peppard博士らにより、1日の飲酒量が1杯増えるごとに閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが25%増加することが明らかにされています。なお、ここでの1杯とは355mlのビールまたはワイングラス1杯等に相当します(Paul E. Peppard,et al. Association of Alcohol Consumption and Sleep Disordered Breathing In Men And Women. Jornal of Clinical Medicine 2007; 3(3):265-270)。
これに加えて、寝酒の習慣を長期間継続することによって、アルコールの耐性が高まり、寝つきがよくなる効果を得るために必要な飲酒量が増えていきます。
これは、アルコール依存症を引き起こす危険性を高めます。
以上のように、お酒を飲むことは睡眠の質を確実に悪化させます。ぐっすり眠り、すっきり目覚めたいと思うのなら、原則として「お酒は飲まない方がよい」と言えます。
とは言え、会社や友人とのお付き合いで飲まなければならない時や、ストレス解消のためにどうしても飲みたい時もあるかと思います。そんなときは少なくとも就寝3~4時間前までに飲むことを心がけましょう。そして、飲む量はビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までが望ましいでしょう(個人差がありますが、一般的にビール中瓶1本に含まれるアルコールがある程度抜けるまでには3~4時間かかると言われています)。
また、お酒を飲まなければどうしても眠れないという方は、寝酒に頼るのではなく、睡眠を専門としている医療機関を受診しましょう。
株式会社こどもみらいで医療部門を統括する志村へのインタビューに基づく「中高生の早起きは心身に害も、9時起きが良いとの指摘」と題する特集記事が、雑誌「女性セブン2019年8月1日号」およびWebメディア「NEWSポストセブン」に掲載されました。
昔から「早起きは三文の徳」といわれ、早寝早起きが推奨されてきた。文科省も「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するなど、国ぐるみで夜更かしをやめ、朝は早く目覚めるべきと訴えてきた。
しかし、若者にはそれは無意味どころか弊害があることが科学的に明らかになってきている。東京医科大学の兼任講師で睡眠健康研究ユニットリーダーの志村哲祥さんが解説する。
この続きは雑誌もしくは以下のURLからお読みいただけます。
https://www.news-postseven.com/archives/20190722_1414368.html
こどもみらいでは今後も科学的根拠に基づいた睡眠および健康に関する情報の発信に努めて参ります。
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STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
株式会社こどもみらい info@strescope.jp
株式会社こどもみらいで医療部門を統括する志村へのインタビューに基づく「早起きは300円の損【睡眠研究医が警告】若者が『朝活』をやめるべき理由」と題する特集記事が、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」の特集「極上のスマート睡眠」内に掲載されました。
記事URL: https://newspicks.com/news/4072516/body/
朝活や始業時間など、身近なトピックについて医学的見地から解説し、個々人のリズムに合わせた働き方の重要性を啓発すると共に、株式会社こどもみらい「STRESCOPE」および「eSLEEP」のデータを用いて導き出され、第91回産業衛生学会 優秀演題賞を受賞した研究「夜型のクロノタイプを持つ者の早すぎる起床時刻はプレゼンティーイズムを招く」でも発表された「早起きは300円の損」という算出について解説しています。
公開から数日で1825Picksと、特集「極上のスマート睡眠」内でも一番の反響を呼んでいます。(2019年8月2日14時時点)
※全文の閲覧には有料登録が必要です。
こどもみらいでは今後も科学的根拠に基づいた睡眠および健康に関する情報の発信に努めて参ります。
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「寝床でスマホ」見直してみませんか?「寝床でスマホ」はあなたの睡眠を悪化させています。ゲームや動画サイトを寝床で楽しむ、なんてことが習慣化している人はいませんか?重要な会議の前日、ついつい仕事が気になって寝床でメールチェックするなんてこともありますよね。また、寝床でフェイスブックやツイッター、止められませんよね。このようにスマホを使ってしまう人は少なくないと思います。スマホは急速に普及し、13歳~19歳では80%以上、20代・30代では90%以上がスマホを日常的に使用しているといわれています(総務省「平成29年通信利用動向調査」)。
一度は聞いたことがあるかもしれませんが、寝床でのスマホ使用は睡眠に悪影響を与えます。今回は、スマホの使用、特に光が、睡眠に与える影響について説明していきたいと思います。
メラトニンが自然な睡眠に導く
夜になると眠くなり朝になると目覚めるのは、脳の奥にある体内時計が、全身の組織・細胞の時刻合わせをしているからです。その時刻合わせの手段として、脳から分泌される「メラトニン」というホルモンが使われています。メラトニンは、主に夜に分泌され、光の感知で分泌が抑制されるという性質があるため、「夜がきたこと」を全身に知らせることができます。具体的には、メラトニンにより、脈拍・体温・血圧などを低下させることで睡眠の準備が出来たとが認識し、自然な睡眠に向かわせるのです。
夜に光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制される
光を夜に浴びると、自然な睡眠を導くメラトニンの分泌が抑制され、寝つきが悪くなってしまいます。特に、スマホなどの電子機器の画面が放つ「ブルーライト」は、ヒトの目で見ることのできる光(可視光線)のなかでも、もっとも波長が短く強いエネルギーをもっており、メラトニンの分泌を抑制します。さらに、ブルーライトは波長が380~500nm(ナノメートル)の青色光で、昼夜を感じるためだけに存在しているメラノプシンという視細胞に波長を拾われて、脳が昼であると認識してしまいます。
したがって、寝る前にスマホを使用すると、画面から放たれるブルーライトが、メラトニンの分泌を抑制するのみならず、視細胞を刺激して体内時計を狂わせてしまうのです。その結果、からだは睡眠の準備が十分にできず、睡眠を悪化させることになってしまうのです。
このことはいくつかの論文で明らかにされています。
例えば、Brigham and Women’s HospitalのChang教授らは、就寝前の電子機器の使用がメラトニンの分泌を減少させることを論文として発表しました。具体的には、12人の健康な青年に対して、就寝前の読書を紙媒体で行う場合と読書を電子書籍で行う場合でメラトニンの分泌量を比較しました。結果、就寝前の読書を電子書籍で行った場合は、メラトニンの分泌が少なく、主観的な睡眠の質が低下していることが示されました(PNAS January 27, 2015 112 (4) 1232-1237)。
さらに、Psychiatric Hospitals of the University of BaselのCajochen教授らが行った研究によると、夜にLEDコンピュータスクリーンの光に曝露されると、メラトニンの分泌が遅れることが指摘されています(J Appl Physiol (1985). 2011 May;110(5):1432-8)。
また、日本大学の公衆衛生学の教授らが行った研究によると、消灯後の携帯電話の使用と睡眠障害の関係が明らかにされています。当該研究は、日本の13歳から19歳の青少年95,680人に対して実施され、消灯後の携帯電話の使用と睡眠時間の短縮、主観的な睡眠の質の低下、過度な日中の眠気、不眠症の関連が指摘されました(SLEEP 2011;34(8):1013-1020.)。
寝床ではスマホを触らない
「寝床でスマホ」は光との関係で睡眠を悪化させることは上記で説明してきたとおりです。これに加えて、「寝床でスマホ」が睡眠に悪影響を与える理由があります。それは、寝床でスマホを使用することにより、「寝床が眠る場所ではない」という条件付けがなされてしまう可能性があるというものです。したがって、寝床が眠る場所であるという条件付けをするために、寝床では何もしないことが望ましいでしょう。
よく眠りたいならば日没後はなるべく光を浴びないように心がけよう
就寝2時間前からはスマホやPC・タブレットは使用しないのが理想的です。また、夜は等に切り替えて、日常生活を送るうえで困らない程度にできる限り部屋を暗めにするのがよいでしょう。100ルクス以上の明るさでメラトニンの分泌が抑制されてしまうので、蛍光灯(75~300ルクス)はなるべく避け、白熱灯(50~100ルクス)や間接照明を使うことがポイントです。間接照明が気になる方はこちらをチェックしてみてください。
仕事や勉強等でどうしてもPCやタブレットを使用したい場合は、画面の明るさを調整したり、ブルーライトカットのメガネを着用するのがよいでしょう。
就寝時、スマホはまわりに置かない
また、質の高い睡眠を十分にとるためには、就寝時、スマホ等の電子機器をまわりに置かないことが望ましいでしょう。これに関しては、University of California BerkeleyのFalbe教授らが行った面白い研究があります。当該研究は2048人の児童に対して実施され、スマホのような電子端末をベッドのそばに置いて寝ていた児童は、そうでない児童と比較して睡眠時間が平均20.6分短く、睡眠に対する不満足度が1.39倍となることを結論づけました(Pediatrics, 135: e367-375, 2015)。
昼間はたくさん光を浴びよう
一方で日中の過ごし方も睡眠に影響を及ぼします。日中の光曝露が多いほど、メラトニンは、夜にたくさん分泌されます。日中に十分な光を浴びることは、よりよい睡眠につながるのです。「最近、よく眠れないなぁ」と感じている場合には、積極的に外出して太陽の光を浴びることや、太陽光が入る部屋で日中過ごすことをお勧めします。
「日中には光をよく浴び、夜は光をなるべく抑える」ことで、「今日はよく眠れたな」という日が増えてくるかもしれませんよ。
株式会社こどもみらい(本社:東京都世田谷区)の保有するデータを元に睡眠覚醒スケジュールとうつ症状に関する調査を行った結果、夜型傾向は直接思春期のうつ症状を惹起するのではなく、睡眠の問題が媒介要因であることが明らかとなり、この内容が第115回日本精神神経学会学術総会で発表されました。
この調査は、2017~2018 年に全日制高校3 校(うち1 校は女子校)、通信制高校1 校の生徒に対してピッツバーグ睡眠問診票(PSQI)、睡眠覚醒スケジュール、Presenteeism Scale for Students からなる質問紙調査を実施し、1099 名が回答したデータを元に行われました。
調査の結果、夜型傾向は直接思春期のうつ症状を惹起するのではなく、睡眠の問題が媒介要因であることが明らかとなりました。さらに、起床時刻の遅延自体は睡眠の問題を改善させることが明らかとなり、始業時刻遅延の持つ学校におけるうつの改善効果は、睡眠の問題の改善によって生じている可能性があることがわかりました。
なお、思春期は生理的に睡眠覚醒リズムが夜型化して「早寝早起き」が困難となること、夜型傾向はうつ症状と関連することが知られています。また、学校の始業時刻の遅延で生徒の睡眠の改善や抑うつの改善などの効果を示した研究が多数存在します。
株式会社こどもみらいでは今後も、「科学的根拠のある健康経営」を支援するための活動を進め、ストレスチェック「STRESCOPE」や睡眠改善プログラム「eSLEEP」などのサービス改善に努めて参ります。
第115回日本精神神経学会学術総会
発表日時:6月21日(金)
発表場所:朱鷺メッセ 4F 国際会議室前ホワイエ
発表者:志村 哲祥(東武中央病院 精神科)
演題名: 夜型傾向は直接ではなく睡眠の問題を介して学生のうつ症状を引き起こす
演題番号:2-P48-1
株式会社こどもみらい( https://cfltd.co.jp/ )は、科学的根拠 に基づいた健康経営を推進するプロフェッショナルチームで す。睡眠と健康に関する研究「Sleep & Health Research」、睡眠 改善プログラム「eSLEEP」、多⾯的なストレス対策の要となる ストレスチェック「STRESCOPE」などを提供しています。
STRESCOPE( https://strescope.jp )は、株式会社こどもみらいが提供する、医学的根拠に基づいた具体的な提案によりストレス改善を目指すためのストレスチェックサービスです。厚労省所定の項目に独自の項目を加えてストレス要因を特定し、個人向けに生活習慣の観点も含めた具体的な改善提案を行うほか、集団分析により企業が取り組むべき事項を明らかにするなど、健康経営のための投資対効果にこだわり、精神科医・産業保健師を含むプロフェッショナルチームにより運営されています。
eSLEEP( https://esleep.jp/ )は、株式会社こどもみらいが2012年から睡眠研究医主導のもと、医師・心理士・保健師を中心として提供している睡眠改善プログラムです。組織単位で睡眠と生活習慣の問題を医学的に評価・分析し、睡眠コンサルティングと個別指導による改善を通して、メンタルヘルス疾患・身体疾患の予防および生産性の向上を図ります。2015年には教育現場における出席率の向上や退学予防効果も明らかにしました。
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